スマホアプリの年間ダウンロード数は1970億件、ほとんどは90日以内に削除される

2017.06.15
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スマートフォンの普及に伴って、私たちの日常生活に不可欠な存在になっているのが、スマートフォン用のアプリケーションプログラム、いわゆる「スマホアプリ」です。アプリストアからのダウンロード数は全世界で2016年に1493億件を超えています(米App Annie調べ)。スマホでは、どんなアプリが、どのように利用されているのでしょうか。いくつかの調査結果から探ってみましょう。

スマホアプリの利用時間は2014年から2016年に倍増

スマホ用アプリの利用状況などを調査している米App Annieによれば、アプリストアからダウンロードされたスマホアプリの総数は全世界で2016年に1493億件でした。2017年には1970億件、2021年には3529億件にまで伸びると予測されています(図1)。地域では中国、インド、日本を含むAPAC(アジア環太平洋地域)が最大です。


図1:全世界のスマートフォン用アプリのダウンロード数(米App Annie調べ)

ダウンロード数の増加に伴い、アプリの利用時間も伸びています。中国を除く世界でのAndroidフォン用アプリの総利用時間は2016年に前年から1500億時間以上増え、約9000億時間にまで増えました(図2)。


図2:中国を除く世界でのAndroidフォン用アプリの総利用時間(米App Annie調べ)

しかし、矛盾するようですが、実際に利用されているアプリの数は少ないのが実態です。米ベンチャーキャピタル(VC)のKPCB(Kleiner Perkins Caufield Byers)によれば、スマホにインストールされているアプリの数は、2016年に全世界の平均は33個。うち日常的に使用するのは平均12個、さらに利用時間の8割以上を占めるのは、わずかに3個しかありませんでした(KPCBの発表資料)。

この傾向は日本でも同様です。2014年時点と比べれば、利用するアプリの数はわずかながら増えていますが、月に1回以上利用するアプリの数は30個(図3)。これが2回以上利用するアプリだと22個、10回以上利用するアプリとなれば12個にまで減少します(ニールセン調べ。発表資料)。


図3:日本におけるスマホアプリの利用状況(ニールセン調べ)

スマホアプリの“寿命”は短く巨大アプリの寡占状態にも

アプリのダウンロード数が増えているのに日常的に良く利用するアプリの数が少ないというのはどういうことなのでしょうか。これは実は、ダウンロードしても削除されてしまうアプリが多いことが背景にあります。モバイルユーザーなどを対象にしたCRM(顧客関係管理)システムを開発・提供する米Appboyが実施した調査結果によれば、スマホアプリの“寿命”は短く、アプリを初めて使用した日から1日後には約75%が、90日後には約95%が削除されてしまうのです(図4)。


図4:アプリの“寿命”は短く、初めて使ってから90日後には約95%強が削除される(米Appboy調べ)

そもそも米国では、月に1本のアプリすらダウンロードしないユーザーの割合が、ほぼ半数という調査結果もあります(ネット分野の米調査会社Statista調べ、2016年6月)。冒頭のダウンロード数が増加しているという結果と照らし合わせれば、「常に新しいアプリをダウンロードしているのはユーザーの約半数で、それも2〜3カ月使う間に「不要」と判断し、また新しいアプリを探し出してダウンロードする」ということが言えそうです。

その理由の1つとして、巨大アプリによる寡占化が挙げられるでしょう。ニールセンの調査では、2016年に最も利用されたスマホアプリは「Facebook」で、それに「Facebook Messenger」が続きます(図5)。そして3位から7位までは米Googleが提供するサービスが並び、8位は再び米Facebookが提供する「Instagram」になり、FacebookとGoogleの2社が上位を独占しているわけです。


図5:2016年に世界で最も利用されたスマホアプリのトップ10(米ニールセン調べ)。

日本の利用状況は世界とは少し違いますが、巨大アプリによる寡占化という意味では変わりません。日本で2016年に最も利用されたスマホアプリのトップは「LINE」です。ユーザー数6600万、利用率70.8%を誇る巨大アプリです。さらに第2位から第6位までをGoogleのサービスが占めます(図6、ニールセン調べ)。世界トップのFacebookは日本では第8位、世界ではトップ10から外れる「Twitter」が第7位に入っていたりもします。


図6:日本で最も利用されているスマホアプリは「LINE」(ニールセン調べ)

FacebookやLINEは新しい機能をどんどん取り込んでいる

FacebookやLINEといったアプリに共通するのは、既にコンテンツ共有やチャット機能を提供する単一のアプリではないということです。ニュースが読めたり支払いができたり、新たなサービスを貪欲に取り込んでいることです。つまり、それさえあれば、やりたいことのほとんどが、そのアプリ内、あるいは同じ企業が提供する他のアプリと連携して終了するわけです。先の90日でほとんどのアプリか削除されることと考えれば、新たなサービスが登場したとしても、その機能をFacebookやLINEが取り込むのに必要が期間が90日といったことが言えるのかもしれません。

だとすれば今後、独自のアプリを新規に開発したとしても中々、ユーザーの間で定着されることは難しいのかもしれません。であれば、こうしたソーシャルメディアやチャットアプリなどを有効活用する方策を探るという方法が有効そうです。

執筆者:丁 晟彦(Digital Innovation Lab)

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