ビッグデータ活用が ビジネスの進化を可能にする

2015.07.24
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センサーデータを活用した業務プロセス改革。アクセスデータを活用したリコメンドなどマーケティングの高度化。あるいは得られた新たな分野のデータを活用した新サービスの実現。これらすべてに共通するのが、データの“活用”です。富士通フォーラムでは「イノベーションを実現するビッグデータ・IoT活用最前線~ビジネスを進化させる活用方法とは」と題し、ビッグデータ、IoTの活用にフォーカスしたセミナーが開かれました。2つのセッションとパネルディスカッションから成る同セッションでは、どんな議論が交わされたのか。追ってみましょう。

富士通 今田和雄氏 執行役員
オムロン 本条智仁氏 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー
商品事業本部 コントローラ事業部 HMI PMGr長
富士通研究所 原裕貴氏 知識情報処理研究所長
富士通ホーム&オフィスサービス 植栗章夫氏 代表取締役社長
富士通 瀧澤健氏 サプライチェーンマネジメント本部 BPR推進部 統括部長
日経ビッグデータラボ 杉山俊幸氏 所長兼 日経ビッグデータ発行人

すでに始まっているイノベーションの創出

最初は、富士通の今田氏による「ビッグデータ・IoT活用が牽引するビジネスイノベーション」と題する講演。同氏は、「人、もの、情報、プロセスがネットワークに繋がる“ハイパーコネクテッド・ワールド”が到来する中、ビジネスや生活に大きな影響が生まれ始めている」と口火を切りました。2020年には500億台ものデバイスがインターネットにつながり、大量のデータを生み出します。「それを生かした企業や組織がイノベーションを先導するはずだ。富士通のお客様でも、すでに先駆的な取り組みに着手し、成果に結びつけている企業がある」とし、事例に言及します。
例えば、百貨店での販売員の行動データを収集し科学的に分析することで、優秀な販売員の行動パターンを共有。全体としてサービスの質向上を実現しています。パナソニックは、モニター世帯における電子レンジの調理データを収集。消費者がいつ、どのような材料で、どんな調理をしているかを可視化、把握しています。「分析したデータを食品メーカーや流通業に提供するサービスを共同で手がけている」(今田氏)。

今田氏語る

さらに、見たい野球選手の見たいシーンを素早く検索できる映像サービスを提供するパシフィックリーグマーケティング、IoTを活用して患者の位置や備品の移動を把握して院内業務の高度化に取り組む南ポフヤンマー 地域医療行政法人の事例も紹介しました。「富士通ではビッグデータ活用の取り組みを“FUJITSU Big Data Initiative”として体系化している。これを生かして、データ活用によるイノベーションのサポートをさらに強化する」と今田氏は語ります。
もちろん富士通自身の取り組みも解説しました。パソコン工場におけるコスト削減や稼働率の向上、クリーンで美味しい野菜の生産、ネットワーク機器の製造ラインにおける見える化の改善などスマートなものづくりへの挑戦、あるいは様々な農業法人と提携してICTで農業を革新する「食・農クラウドAkisai」などです。

ビッグデータ活用の延長線上にある人工知能技術、「東ロボくん」のプロジェクトもその1つだと言います。国立情報学研究所が主導する「ロボットは東大に入れるか」という東大の入試合格を目指すプロジェクトのことで、富士通は高度な推論と知識ベースが求められる数学チームに参加しています。「今は偏差値50あたり。まだまだ勉強が必要な段階」(今田氏)ですが、2021年の東大合格に向けて、日々、”勉強”に励んでいるとのことです。
最後に今田氏は「富士通は企業と企業、企業と生活者や社会といった、関わりから生まれる新たな価値を共創するとともに、Systems of EngagementとSystems of Recordをシームレスに連携させることで、イノベーションを加速する」と締めくくりました。

Bigdata-図1
図1:ビッグデータ活用によるイノベーション(出典:富士通)

オムロンと富士通における製造現場でのビッグデータ活用事例

続いて、ユーザ事例として2人が登壇。まずオムロンで事業企画と商品企画を担当する本条智仁氏が「IoT活用で変化する社会と製造業の未来」と題し、プレゼンテーションを行いました。ユーザーサイドから見たビッグデータ活用の現状と、それがもたらす効果がメインテーマです。「(オムロンの)創業者である立石一真氏の未来予測論『SINIC理論』によれば、今は最適化社会の時代である。最適化にはデータを分析・処理して、現場にフィードバックすることが重要になる」と、本条氏はビッグデータの価値を指摘します。

本条氏語る

制御機器メーカーであるオムロンにおけるビッグデータへの取り組みは、2011年に大きな転機があったと言います。「この時期、機器にPCアーキテクチャを採用し、国際標準のプログラミング言語を採用した。ここでプラットフォームを変えておかないと、時代の変化についていけないという危機感があったからだ」。それまでの固有のアーキテクチャからビッグデータ活用に適したアーキテクチャに切り替えたわけです。
2013年には一歩進め、産業現場でのビッグデータ活用に向けてマイクロソフトと協業。さらに「2014年には富士通との協業に踏み出し、事例となる工場ラインを作ったり、富士通のCADと連携したりすることで、事前のシミュレーションを可能にした」と、これまでの取り組みを紹介しました。
一方、「ビッグデータ活用の効果を検証するため、自らも草津工場のプリント基板の表面実装ラインにおける不具合の見える化に取り組みんだ」(本条氏)。歩留まりの変化をデータで可視化することによって、現場に気付きとコミュニケーションを促しました。「導入一年足らずで、生産性は30%改善され、改善点の抽出時間は6分の1以下に短縮できた。一番変わったのは人だ。可視化により、現場の考え方が変わった」と本条氏は言います。

Bigdata-図2
図2:センサーデバイスまで透過させたビッグデータ活用(出典:オムロン)

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