育児をテクノロジーで変えるBabyTech、米BlueSmartのスマート哺乳瓶は授乳を容易に

2018.02.27
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ダイバシティや多様な働き方と言った観点から「子育て」の分野でもテクノロジーの利用が始まっています。「BabyTech」がそれで、妊娠から育児まで乳児にかかわる出来事をテクノロジーで変えようという取り組みで、多くのスタートアップ企業が登場しています。そうした中、2018年の「CES 2018」で「The Best Of BabyTech Award」を受賞したのが米BlueSmartのスマート哺乳瓶「Mia」です。どんな哺乳瓶なのでしょうか。

簡単なようで難しい哺乳瓶の使い方

赤ちゃんに哺乳瓶でミルクを与えている姿は、見ていて微笑ましく心温まるものですが、実際に与える側となれば、いろいろと準備しておかなければならないことも多く大変な行為であることは間違いがありません。そのことは、赤ちゃんが泣き出してからミルクを与えているお母さんやお父さんなどが、大きな荷物野中から哺乳瓶を取り出し、相当に慌てている様子などからも想像できるでしょう。

授乳が難しいのは、飲む量や、ミルクの温度、授乳の間隔などが赤ちゃん一人ひとりで最適な値が変わってくるからです。そのときの体調はもとより、気温や天候なども影響しているのかもしれません。赤ちゃんによっては、哺乳瓶の角度や位置などが変わるだけでもミルクの飲み方が変わることもあります。

そういったことをお母さんやお父さんは毎日、ミルクを与えることで、自分の赤ちゃんの好みを体験的に把握していくわけですが、ミルクを与えるのは必ずしも自分の赤ちゃんだとは限りません。お母さん任せにしていれば、お父さんですら難しいでしょうし、祖父母や親戚、あるいは保育士などの第3者になれば、特別な癖などに対応できなくても不思議はありません。

こうした授乳に伴う課題を、テクノロジーで解決しようとするのがスマート哺乳瓶の「Mia」(米BlueSmart製)です。2018年1月に米ラスベガスで開かれた「CES(シーイーエス)」内で実施された「BabyTech Awards」で「The Best Of BabyTech Award」を受賞しています。

Miaは、哺乳瓶の底部にかぶせるスリーブとスマートフォンアプリを組み合わせたもの。スリーブに内蔵する各種センサーを介して、ミルクの温度や量、授乳の間隔や回数、哺乳瓶の角度などの情報を収集・管理することで、赤ちゃんにもミルクを与える人にも安心で安全な授乳ができるようにします(動画1)。

動画1:米BlueSmartが開発する「Mia」の紹介ビデオ(1分13秒)。

専用スリーブで取得したデータをスマホで確認

哺乳瓶にかぶせるスリーブは、IT製品にありがちな無機質さはなく、見た目も色も可愛らしくデザインされています。このスリーブは、ワイヤレス給電で充電します。フル充電すれば、約1日利用できるので、外出時も安心でしょう。シリコン製のスリーブは、水洗いができ衛生面にも当然ながら配慮されています。哺乳瓶自体は、市販の一般的なものが利用できます。

このスリーブには、モーションセンサーと温度センサーが搭載されています。これにより、哺乳瓶の角度やミルクの温度を図っています。音声認識が可能なマイクもついており、ミルクの量は音声で登録できます。

4つのLEDがついており、1つはリマインドや警告などを示すもの。飲み残しのミルクが古くなりすぎていないか、破棄する必要があるかなどを判断できます。残り3つのLEDには、ミルクの温度や哺乳瓶の傾きが適切かどうかが表示されます。

一方のスマートフォンアプリにはまず、赤ちゃんの年齢や体重、身長を入力します。そのうえで摂食スケジュールを選択しておけば、適切なタイミングに授乳のリコメンドが得られます。子育てに慣れていない“新人”でも安心でしょう。

データはクラウド上にあるため、赤ちゃんを誰かに預けている間に与えられたミルクの量や回数などを遠隔地からも確認できます(動画2)。ミルクを飲む量や回数が減るなど気になることがあれば、過去の記録を取りだし、小児科医に参考情報として提供することもできます。働くお母さん/お父さんにとっても安心が得られるというわけです。

動画2:遠隔地から授乳を確認できることのメリットを説明するビデオ(1分4秒)

センサーで取得する授乳情報のほか、体重や身長の変化、睡眠やおむつの交換具合などは手入力することで、赤ちゃんの成長記録をつけることもできます、これらの情報も、家族や小児科医と共有できます。

赤ちゃんの安心・安全に焦点を当てるBabyTech

Miaが受賞した「The Best Of BabyTech Award」は、今回で3回目の開催となる「BabyTech」エリアで開かれる賞。「Baby Eats(食)」「Baby Learn & Play(学びと遊び)」「Baby Safety(安全)」「Fertility & Pregnancy Help(出産・妊娠支援)」「Healthy Baby(健康)」の5つのカテゴリーがあり、MiaはEats部門での受賞です。

他部門でも多くのスタートアップ企業が工夫を凝らした製品を開発・販売しています。たとえば、体温を24時間遠隔監視するために身体に貼り付ける体温計の「TempTraq」(Blue Spark Technologies製)や、車内モニター機能をもつチャイルドシートの「Sirona M with SENSORSAFE 2.0」(独CYBEX製)、不妊治療に向け排卵日を記録する「Eveline Smart Fertility System」(米iXensor製)などが、各部門の「The Best Of BabyTech Award」を受賞しています。

日本でも、共働き家庭が増えています。内閣府の『男女共同参画白書』によれば、育児休業を取得し、かつ就業を継続した女性の割合は、昭和60年~平成元年にかけての5.7%が、平成22〜26にかけては28.3%にまで増加しています。さらに少子高齢化により、子育てと介護を同時にこなさなければならないケースも出てきています。BabyTechを採り入れることで、家族が楽しく子育てできるようになるのであれば、大いに期待したいものです。

執筆者:大西浩二(Digital Innovation Lab)、高橋ちさ(ジャーナリスト)

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