C2CとB2Cは融合する?!、ファッションC2Cサイト「BUYMA」の裏側

2017.03.21
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個人間での商品売買を仲介するC2C(Consumer to Consumer)型のネットサービスが伸びています。「ヤフオク!」のようやオークション型や「メルカリ」といったフリーマーケット型などです。そうしたなか、世界各地から出品者を集めているのがファッションに特化した「BUYMA(バイマ)」です。BUYMAは、どのような方針でC2Cビジネスを拡大しようとしているのでしょうか。

赤字の危機からBUYMA一本に事業を集中

BUYMAは、世界各地の在住者が現地の商品を登録して販売する形のC2Cサイトです(動画1)。利用者が発注すると出品者が商品を購入者へ発送。代金は配送料を含めてBUYMAが徴収してから出店者に支払います。商品が届かなかったりイメージに合わなかったりした場合は、BUYMAが全額返金するのも特徴の1つです。日本では販売されていない現地専用モデルを日本語のやり取りで購入できる点などが受け入れられているようです。

動画1:「BUYMA(バイマ)」での取引の流れの紹介ビデオ

そのBUYMAを運営するのがエニグモ。カスタマーマーケティング事業本部 部長の今寺 優介 氏が2017年2月15日、「第10回イーコマースEXPO 2017 東京」に登壇し、C2C市場におけるBUYMAの運営方針などについて説明しました(写真1)。今寺氏はBUYMAの拡大について「地道にやっています」と語ります。

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写真1:BUYMAを運営するエニグモのカスタマーマーケティング事業本部 部長である今寺 優介 氏

BUYMAがサービスを開始したのは2005年のこと。携帯電話のカメラ機能が充実し始めた時期で「町で見つけた商品をシェアするというコンセプト」(今寺氏)でした。しかし、赤字がちらつく危うい展開に陥るなかで2010年、「サービスをしっかり育てていくことを決断」(同)。当時手がけていたBUYMA以外の事業からは撤退し、BUYMA一本に集中するとともに、ファッションサイトに方向転換します。それが今では、130カ国からの商品を扱い、利用者数も400万人に達するまでに成長したのです。

海外在住の日本人が買い付け担当者として商品を登録

BUYMAは「Buying Market(買い付け市場)」の略で、同サイトへの出品者のことは「パーソナルショッパー」と呼びます。パーソナルショッパーの多くは海外在住の日本人。彼らが日本人の思考や体型などを考慮しながら現地で見つけた商品をBUYMAに登録します。それだけにパーソナルショッパーは「購入者の趣味・嗜好を管理し、要望に応えられる存在」(今寺氏)としてBUYMAでは重視しています(写真2)。

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写真2:各地の「パーソナルショッパー」のインタビューも掲載(BUYMA公式ページより)

例えば、海外ブランド品では、日本と海外で人気の色が違うなどから、日本では完売していても海外では入手可能といったことが起こります。また海外のセールでは、いきなり“90%引き”というケースもあり、その場合は手数料や海外配送料を加えても日本で購入するより安いこともあります。こうした商品を見つけるのもパーソナルショッパーの役割です。購入希望者が写真共有サイトの「Instagram」で見つけた画像を見せて「この服が欲しい」といったリクエストを出せば「パーソナルショッパーが、その服を見つけ出してくれ、実際に購入できるケースもある」(今寺氏)ようです。

パーソナルショッパーの獲得にむけてエニグモでは、海外でもセミナーを開催しています。日本人が集まるスーパーなどにビラを置くなどして参加者を集めます。そこでは「海外に住んでいること自体が価値があると説得する」(今寺氏)とのこと。そんなパーソナルショッパーは現在、「世界130カ国に8万2000人が登録している。このネットワークがBUYMAの大きな力になっている」(同)のです。

個人間でいかにサービスの品質を高められるかが課題

そんなBUYMAを運営するエニグマの役割について今寺氏は、「誰もが安心して楽しめる取引環境をいかに提供するか」だと語ります。出品数や取引の成立数が伸びるのはもちろんですが、「個人が商取引をするC2Cだからこそ浮き彫りになっている課題を解消しなければならない」(同)というわけです。課題の1つが、「購入者にとっての検討材料である商品の重要事項がパーソナルショッパーによって十分に記載されているどうか」(同)があります。

例えば、「『サイズ38』と『サイズS』という表示が混在すれば、それが実際にどの程度違うのかの判断に迷ってしまう。商品の検品基準も同様に、日本のお店で購入したつもりでいると、海外の検品品質に、がっかりしてしまうケースもある。発送にしても、購入を決めたら速やかに発送されるか、梱包はしっかりしているか、案内状やオマケなどは付けるのかどうかなど、パーソナルショッパーの対応には様々な違いが起こり得る」(今寺氏)のです。問い合わせやアフターケアにおいても、「言葉遣いの良し悪しだけでなく、時差がある中で土・日や夜間にどう対応するか、返品や使用後の不備にどう処置するかなど、サービス品質に関わる課題は少なくない」と今寺氏は指摘します。

そこでエニグモでは、パーソナルショッパーに提供する利用ガイドにおいて“最低限のサービス基準”を明示しています。「問い合わせは72時間以内に返答」「商品の発送は18日以内に」などです。ただ購入者の満足度を高めるには、「利用ガイドの内容だけでは不十分。この基準をいかに上回ってくれるかが重要」(今寺氏)になります。とはいえ「規約での締め付け・強要は一概にはしづらいのが実状。サイト側の事情を一方的に押し付けるだけではC2Cサイトは成長しない」(同)からです。そのためエニグモは、良い対応をしているパーソナルショッパーを表彰する「BUYMAアワード」を実施するなど「“褒めて伸ばす”方策も採り入れている」(同)そうです。

出品される商品の多様性の確保も課題です。出品者は早期に売れる商品を、購入者は流行の商品がほしいという流れになると「人気商品ばかりが取り扱われるようになり、多様な出品者が多様な商品を紹介するC2Cの良さが活かしにくくなってしまう」(今寺氏)からです。この点については、「BUYMAの運営チームが、人気が出る前の商品をプッシュするなどで多様な商品の“開拓者”と協力していくほか、情報の収集・分析によって“売れ筋”を含めた情報共有を図るなど、優良なパーソナルショッパーのサポートを怠らない」(同)と言います。

例えば、「12月に水着が売れる」というデータから「年末年始を海外で過ごす人の需要がある」ことを見いだせれば、その情報をパーソナルショッパーと想定する顧客の双方に提供することで、「優良なパーソナルショッパーと優良な顧客のマッチング度合いを高めるといった流れを作り出す」(今寺氏)というわけです。

出品レベルの向上でC2CとB2Cの境界線があいまいに

こうした取り組みでサービス品質が高まっていく先にBUYMAは、どんな将来像を描いているのでしょうか。それについて今寺氏は、「出品者のレベルが高まれば、C2CとB2C(企業対個人)の境界線が、あいまいになっていく」と指摘します。既に、パーソナルショッパーの中には、「個人のレベルを超え、年間1億〜2億円を売り上げる“スーパープレイヤー”がいる一方で、BUYMAで活動する法人アカウントもある」(同)そうです。両者の境界が、あいまいになるなかでBUYMAとしては、「1つのプラットフォームとして、他のEC事業者にもBUYMAに加わってほしい」(同)と考えています。

出品者のサービス品質の向上に向けては、運営チームによるアナログな人的支援だけでなく、今後はITの力を使った、より効果的な支援も可能になっていくことでしょう。BUYMAをはじめとしたC2C市場が今後、どう成長していくのか要注目です。

執筆者:奥野 大児(ライター/ブロガー、https://twitter.com/odaiji)

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