中国のモバイルアプリ配布数は小米だけで750億以上、小米APPストアにみる最新動向

2017.03.07
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スマートフォンなどで利用するモバイルアプリケーションは私たちの生活に不可欠なツールになりました。「お薦めTop10」など人気アプリを紹介する記事も多数見かけます。では、モバイル先進国とも言われる中国では、どんなモバイルアプリが人気なのでしょうか。スマホメーカーの小米が先頃、同社のモバイルアプリのマーケットプレイス「小米APPストア」の2016年の利用状況を公開しました。いくつかの数字とトレンドを紹介しましょう。

総配布数は750億超、2年間で10倍以上に

小米(Xiaomi)はスマホメーカーとして2010年4月に創業した会社です。最近は、スマホと連動するテレビやウェアラブルデバイス、ドローンなども製造し、総合家電メーカーの色彩を強め始めていますが、対Apple戦略で中国のスマホ市場を拡大してきたのが同社。今も2億以上のスマホユーザーを顧客に持ち、その顧客にモバイルアプリを提供するためのマーケットプレイス「小米APPストア」を運営しています。

その小米が2017年2月24日、同ストアの2016年度の利用状況をまとめたレポート「小米应用商店2016年报告」を公開しました。2億超の顧客を持つ同社サイトの利用実態は、中国のモバイルアプリのトレンドの一端を示しているのは間違いありません。同レポートによれば、小米が2016年に配布したモバイルアプリの総数は750億以上(図1)。これは約2年前から10倍以上に伸びています。ユーザーの平均像は「スマホには78種のモバイルアプリをインストールし、1日平均14のアプリを使い、その使用時間は4.8時間」になるそうです。

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図1:2016年のモバイルアプリ配布数。累計配布数が750億を超えた(小米の発表資料に日本語訳を重ねた)

大都市を中心に自転車のシェアリングサービスが拡大中

利用数が多いのは、動画配信やチャット/SNSのためのモバイルアプリのようですが、最近、利用者数が急増している分野として小米は「旅行・交通」分野と「写真・動画撮影」分野を挙げています。「旅行・交通」分野では2016年、自転車を共有する「自転車シェアリング」のためのアプリケーションが登場し、一気に利用者数を増やしているようです。中でもトップを走るのが「ofo(共享単車)」と「mobike(摩拜单车)」の2つのサービス。小米APPストアからのダウンロード量では、両社だけで90%以上のシェアを得ています。ofoが52%、mobikeが43%です(図2)。

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図2:自転車シェアリングにおける2強モバイルアプリ。シェアではofoが、アクティブユーザーではMobikeが優位に(小米の発表資料に日本語訳を重ねた)

ただし、利用実態では、mobikeのアクティブ度が70%に達しているのに対し、ofoは23%にとどまります。mobikeがサービスを開始したのは2016年4月ですが、中国内で9都市に展開し、上海だけで10万台の自転車を提供しています(動画1)。

動画1:「Mobike」の紹介ビデオ。オレンジ色の自転車がMobikeの目印

自転車シェアリングの利用者は圧倒的に大都市に集中しています(図3)。そのためもありMobikeは海外の大都市へのサービス展開を始めています。まずはシンガポールに進出しました。

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図3:自転車シェアリングの利用者の地域分布。Ofo、Mobikeともに、北京、上海、広州、深センでの利用が多い(小米の発表資料に日本語訳を重ねた)

ショートムービーなどの撮影・共有アプリの利用が急増

一方の「写真・動画撮影」分野とは、利用者自身が写真や動画を撮影し投稿・共有するためのモバイルアプリのことです。米Facebookが展開する「Instagram」や、その動画版といったところでしょうか。特に短い動画(ショートムービー)を撮影するモバイルアプリの人気が高まっているようです。同分野の小米Appストアで圧倒的な利用数を持つのが「Kuaishou(快手)」。2017年には米国でIPO(株式公開)することも計画しています(図4)。このKuaishouを追う2番手争いが激化しています。新興勢力の「TouTiao Video(頭条視頻)」と「Meipai(美拍)」などです。Meipaiは日本でも若い女性の間で人気になっています。Meipaiの運営会社である美図(Meitu)は2016年末に、香港の株式市場でIPOしました。

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図4:ショートムービー用モバイルアプリのダウンロード数。快手(Kuaishou)が圧倒的だが、それを新興の頭条視頻(Toutiao)が追う(小米の発表資料に日本語訳を重ねた)

ショートムービーに次いで急成長中なのがライブ配信アプリです。2015年に登場した分野で、当時は「YY」がダントツの1位でしたが、2016年は小米自身が投入した「小米直播(Mi Live)」がトップに踊りでて、しかも2位以下を大きく引き離しました(図5)。ライブ配信アプリのトップ10の中には、主にオンラインゲームの対戦模様を中継するためのモバイルアプリが5つも入っています。

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図5:ライブ配信分野の月間アクティブユーザー数。新興企業が続々と台頭しており、2016年に登場した小米直播(Mi Live)がいきなりトップに(小米の発表資料に日本語訳を重ねた)

越境ECのためのモバイルアプリも激戦区に

Eコマースも利用者数が多い分野ですが、日本で話題になっている「越境EC」に限ったアプリの利用状況も公開されおり、上位5社による競争が激しいようです(図6)。モバイルアプリのダウロード数でみると、2016年のトップ3は「網易考拉海購(Kaola)」「小紅書(Xiaohongshu)」「达令全球好貨(daling)」ですが、月間の利用状況でみればトップP3は小红书、网易考拉海购、「洋码头(ymatou)」になります。2015年に他を圧倒していた「达令全球好货(daling)」は2016年、大きく後退してしまいました。

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図6:越境EC分野の利用状況。変動激しく、ダウロード数では網易考拉(Kaola)がトップ、アクティブユーザー数では小紅書(Xiaohongshu)がトップに(小米の発表資料に日本語訳を重ねた)

越境ECの利用者像は、性別は男女がほぼ半々で、上海や北京、広州といった大都市での利用が上位を占めています(図7)。

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図7:越境EC用モバイルアプリの利用者像。男女比はほぼ同じで、年代別は青年と中年が中心、地域は北京、上海広州に集中している(小米の発表資料に日本語訳を重ねた)

いかがでしたでしょうか。これまでも中国のEコマースや最新スーパー、それらのネットビジネスを支えるクラウドなどについて紹介してきました(関連記事:『中国「独身の日」、アリババの売り上げ約1.9兆円を支えた注目の“数字”』『支払いは電子マネーのみが中国の最新スーパー、アリババも出資する盒馬鮮生』『AWSを追い上げる“黒船”が日本上陸、中国でシェア5割を超える「Alibaba Cloud」の実像』)。今回、小米のモバイルアプリの利用状況を見てみましたが、ここでも想像以上に中国のネット化が進んでいる様子がうかがえました。

執筆者:丁 晟彦(Digital Innovation Lab)

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