いまさら聞けない?!世界で1700億円の市場を持つドローンの基礎知識

2016.09.06
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「ドローン」に対し日本では、少しネガティブなイメージが強いかもしれません。ニュースで伝わるのはドローン関連の事件がほとんどですし、航空法の改正などにより近所の公園など、身近な場所では自由に飛ばせなくなっているからです。しかし、ドローンビジネスが広がるのは、まさにこれから。ドローンの対する“誤解”をなくし、正しい知識のうえで、その利用方法を探りたいところです。そうした背景から先頃、ドローンの基本を知ることができるイベントが東京・江東区で開かれました。

「今さら聞けないBuzz Wordを 体験・理解するシリーズ(ドローン篇)」と題したイベントに講師として登場したのは、ドローンレースの企画・運営を手がけるFPV Robotic社長の駒形 政樹 氏(写真1)。大学卒業後、広告会社に務めデジタルマーケティング活動の支援に従事するなかでドローンに出会い、とうとう2016年2月にFPV Roboticsを起業したという経歴の持ち主です。イベント当日は、交通インフラ系企業に勤める方など30人ほどが集まりました。

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写真1:ドローンの基礎知識を伝えるFPV Robotic社長の駒形 政樹 氏

ドローンの市場規模は2035年に世界で約8700億円

駒形氏が最初に紹介したのが「Drone Impact Challenge(DIC)」。ドローンを利用して社会貢献につなげようとする取り組みです。趣味の側面が強いドローンですが、そのドローンが備えるBluetoothを使ったデータリンクや、GPS(全地球測位システム)による自律飛行といったテクノロジーを産業発展の要として活用しようとしています。DICの運営主体は、20人ほどの有志による実行委員会。本業はIT企業や運輸会社の会社員といった方々が、ドローンコミュニティの育成と健全なドローン社会の実現を目標に、ほぼボランティアで活動されています。

現在、ドローンのビジネス利用は、映像撮影が中心です。しかし最近は、宅配サービスや社会インフラの管理などに利用しようとする取り組みが日本でも活発になり始めています。米国のAmazonやFacebookなどによるドローン活用に向けた各種プロジェクトの影響もあるようです(関連記事)。日本でのドローンの市場規模は「まだ約60億円程度ですが、世界では既に約1700億円、2035年までには約8700億円にまで成長する」(駒形氏)と言われるだけに、DICの取り組みには大きた期待が寄せられます。

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写真2:熱心に聞き入るイベントの参加者

千葉市と秋田県仙北市がドローン特区に指定

ドローンのビジネス利用を促進するための国の施策の1つが「ドローンの飛行実験に関する特区」。国家戦略特別区域として2016年4月、千葉市と秋田県仙北市が指定されました。「航空法や電波法により規制されている部分を、特別区域内では緩和しようという取り組み」(駒形氏)です(関連記事)。千葉市では、ドローンを使った宅配サービスを実現しようと、イオンや千葉大学などが参画する実証実験が始まっています。

一方の仙北市が取り組むのは「ドローンをスポーツにしてしまおう」(駒形氏)というもの。「世界初のドローンレース・アジアカップ」と銘打った大会が2016年7月末に開催されたばかりです。回されたのは「FPV(First Person Views)」と呼ばれる方式でのドローンレース。FPVは元々、ラジコンの世界で使われていた言葉で、「飛行機のコクピットにいるパイロットの視点で操縦する」(同)ための仕組みです。カメラと映像送信装置をドローンに搭載し、受信装置側で生中継される映像を見ながら飛行させることで「自分があたかもドローンに乗っているような感覚で操縦できる」(同)ようになります(動画)。

動画:ドローンレースの模様。動画は2015年に千葉で開かれたレースの様子

FPVのないドローンでは、飛行状態は肉眼しか確認できませんが、FPVがあれば、ドローン本体から見た視点で周囲の状況を確認できるため、「より安全に飛行させることが可能になる」(駒形氏)のです。このテクノロジーにより「ドローンを高速に飛ばすという遊びが生まれ、それがドローンレースへと発展した」(同)のです。最大時速100kmを超えるドローンが空中を飛び交う様は、圧巻なのだそうです。

ドローンレースは海外では、多数開催されています。例えば、ドバイでは新しいスポーツだと認識され、国を挙げて実施されています。米国では、将来的なドローンレース市場の拡大を期待する投資家がレースの主催団体に出資するという現象が起きています。スポーツ専用チャンネルの『ESPN』は、ドローンレースの放映権を購入してもいます。ドローンの操縦には、車や飛行機のような専門知識が不要なため、誰でもドローンのパイロットになれます。「イギリスでは10代の少年が大会で優勝するといった事例もある」(駒形氏)と言います。

ドローンの市場シェアトップは中国のPhantom

肝心のドローン本体ですが、一般消費者向けに販売されている中で今、最も人気の高いのは、中国・深センに本社を置くDJIの「Phantomシリーズ」です。「全世界で飛んでいるドローンのうち70%近くがDJI製」(駒形氏)とされます。日本では、自立制御システム研究所や日本遠隔制御といった企業が機体を開発・販売していますが、ビジネス用途に特化していたりラジコンヘリコプターの延長だったりするため「値段や操作の難易度といった面から市場シェアはあまり高くない」(同)のが実状です。他にもフランスやスイス、アメリカの企業もドローンを販売しています。

ドローンを取り巻く現状について基礎知識を身に付けたら、実際にドローンを飛ばしてみたくなるはずです。イベントでは講演後、飛行体験の機会が用意されました。フットサルコートを貸し切り、安全に十分に配慮した形での体験会です。使用したのは、フランスのParrotが開発する10cmほどの小さなドローン。スマートフォン用のアプリケーションを使って操縦します(写真3)。操作方法はラジコンのヘリコプターなどと同じで、2本のスティックを操作して、上下と前後左右に移動させます。

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写真3:ドローン飛行体験で使用したParrot製の機体

機体が小さく軽いため、風の影響を受けやすかったものの、操作は思いのほか難しくなく、参加者も少し練習を繰り返すことで、上手く飛ばせるようになっていました。読者のみなさんも小型のドローンを実際に飛ばしてみたり、ドローンレースの動画などを見たりすることで、ドローンの誤解を払拭し、新たな活用方法をも考えてみてはどうでしょう。

執筆者:漆畑 慶将(OKメディア)

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