Pockyでプログラミング?!グリコが作ったプログラミング教材「GLICODE」

2016.11.10
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お菓子の江崎グリコが提供するスマートフォン用アプリケーション「GLICODE(グリコード)」をご存じでしょうか。「Pocky」や「ビスコ」といった同社の代名詞とも言えるお菓子を並べることでプログラミングを学ぶためのアプリケーションです。2020年からは小学校での必須化が決まったプログラミング教育ですが、お菓子のグリコがなぜ「GLICODE」を開発したのでしょうか。

GLICODEでは、お菓子を使って、誰でも手軽に、遊びながらプログラミングの基礎的な考え方が学習できるとしています(動画)。対象年齢は3歳以上というGLICODEで、どんなプログラミングが学べるのか−−。それを知るために、まずは筆者が実際にGLICODEを使ってみることにしました。

動画:「GLICODE」の紹介ビデオ

本物のお菓子を並べてゲームをクリアしていく

用意するのは、スマートフォンとダウンロードしたGLICODEのほかに、グリコのお菓子と、そのお菓子を並べるための白いシートです。お菓子は、クリーム入りビスケットの「ビスコ」、チョコレート菓子「Pocky(ポッキー)」の基本形である「Pockyチョコレート」、アーモンド入りチョコレートの「ALMOND PEAK(アーモンドピーク)」のいずれか1種類があれば良いようです。ただ、3種類あれば、より複雑なプログラミングができ、さらに同社のキャラメル「グリコ」に付いている木製のおもちゃ「アソビグリコ」があれば、「ちょっと楽しいことが起こるかも」とGLICODEの紹介ページにはあります。

GLICODEをダウンロードして、さっそくスタート!最初に、用意できたお菓子を選択すると、マップが表示されました。「ビスコルート」「ALMOND PEAKルート」「Pockyルート」の3つのルートがあります。筆者は、Pockyルートを選択してみました。

すると立方体のブロックで作られた森のようなスペースの上に「ハグハグ」という名前のキャラクターと、泣いている女の子が並んで立っている画面が現れました(写真1)。「プレイ!」を選ぶと、「ハグハグを、ないている女の子のところまでつれて行こう!」というメッセージが表示され、読み進むと「ポッキーを右向きのおくとハグハグが右にうごくよ」というヒントが現れます。ポッキーをカメラで読み込めば良いようです。

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写真1:「Pockyルート」の最初の課題の画面

用意した白いシートの上にPockyを1本、右向きに置き、そのPockyにスマホのカメラをかざします(写真2)。少しコツがいるのですが上手く認識できると、「右にうごく」という指示が表示されました。決定ボタンを押すと、画面は元に戻り、そこで実行ボタンを押すと、ハグハグが右に1歩動き、女の子のところに到着しました。これで最初のステージがクリアです。

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写真2:白いシートの上においたPockyを撮影する

学べるのはプログラムにおける4つの基本動作

プログラミング経験がある方なら、もうお分かりかと思いますが、GLICODEでは、Pockyやビスコなどのお菓子の形と向きにプログラムの命令が意味づけられており、それを並べていくことで、より複雑なプログラミンができるようになっています。Pockyは上下左右への動き、ビスコは「飛び越える」と「上る」、ALMOND PEAKは、「大きくなる」と「小さくなる」です。アソビグリコは命令が無作為に選ばれるようです。

これら4種類のお菓子を並べて学べるのは、プログラミングの基礎的な考え方である、(1)SEQUENCE(順番に実行する)、(2)LOOP(繰り返す)、(3)IF(場合分け)、(4)RANDOM(無作為)の4つ(写真3)。子供達は、これら4つの考え方に沿って、キャラクターを指示された場に到着できるようにお菓子、すなわち命令を組み合わせていくことになります。プログラミングとは、命令を順序づけたロジックを組んでコンピューターを動かすことですから、GLICODEでは、お菓子を並べることで、プログラミングの基礎が学べるというわけです。

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写真3:複数のお菓子を組み合わせて作ったLOOP(繰り返し)のプログラムの例

さて筆者もシステムエンジニアのはしくれ。ポッキー1本やビスコ1個を並べるくらいでは「まだまだプログラミングを学んだとは言えない」と思い、GLICODEの全ステージクリアにチャレンジしてみました。

中盤を過ぎると課題の難易度は高くなり、3種類のお菓子を組み合わせる必要があります。複数の命令の組み合わせをLOOPさせたり、IFで場合分けしたりすることの理解が重要になってきます。すべての命令を一度に作り上げるのではなく、途中まで作って動かしては、考えた通りに動かない箇所を修正するという、いわゆる「デバッグ作業」も必要になってきました(写真4)。なんとか全面クリアできましたが、ここまでに6時間ほどかかりました。

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写真4:何度もの修正作業を強いられたステージの例

総務省のプログラミング教育普及推進事業の一環

実はGLICODEは、総務省が2016年度から開始した「若年層に対するプログラミング教育の普及推進事業」に採択された案件です。国は今、“デジタルディスラプション(デジタルによる創造的破壊)”に象徴される世界的な動きを牽引しているのはソフトウェアの力であり、プログラマーの層の厚みが国際的な競争力にかかわるとの考えから、プログラミング人材の育成に力を入れています。ご存じのように、2020年からはプログラミング教育が小学校で必須化されるのも、その一環。プログラミングを学ぶことで、論理的な思考力や問題解決能力が育つとともに、コンピューターに関する基礎的な知識・スキルが身につくと期待されています。

こうした動きを受けて、首都圏を中心に小学生などを対象にしたプログラミング教室が開かれたり、関連書籍が出版されたりしています。そうした中で、若年層に対するプログラミング教育の普及推進事業は、「クラウドや地域人材を活用した、効果的・効率的なプログラミング教育の実施モデル」を実証するのが目的です。2016年度は、GLICODEを含め、11事業が採択されました。ただ、そのほとんどは、IT関連企業や教育研究機関が中心。お菓子メーカーのグリコの参加は異色といっても過言ではありません。ではなぜグリコは本事業に応募したのでしょうか。

江崎グリコの起点は、エネルギー代謝に欠かせない成分であるグリコーゲンを使った栄養菓子としての「グリコ」です。1919年(大正8年)に開発され1921年に発売されました。そこから、糖の研究を重ね、コーポレートメッセージである“おいしさと健康”を形にしてきました。加えて、創業者の江崎利一氏の「食べることと遊ぶことは子どもの二大天職である」という考えから「グリコのおもちゃ」が誕生します。江崎氏は、栄養菓子におもちゃを組み合わせることで、”身体の健康“だけでなく”心の健康”をも視野に入れていたといいます。

お菓子とおもちゃでプログラミングのハードルを下げる

GLICODEも、この「グリコのおもちゃ」の延長線上にあります。お菓子を使うことで、教わる側と教える側のそれぞれにプログラミングへ容易に触れられるようにすることで、次代を担う子どもたちがプログラミングに興味を持て、次代に必要なITリテラシーを身につけてほしいと考えて開発されました(グリコの発表資料)。つまりGLICODEは、グリコのおもちゃのデジタル版なのです。

いかがでしたでしょうか。みなさんも一度、GLICODEでお菓子を使ったプログラミングに挑戦してみてはいかがでしょうか。プログラミングに触れることで、デジタルディスラプションを引き落としているソフトウェアの一端に触れられます。そしてもちろん、楽しくプログラミングを学んだ後は、お菓子は美味しくいただきましょう!

執筆者:大友 愛子(Digital Innovation Lab)

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