米GreenLightの子ども用デビットカード、使えるお店限定でお小遣いをキャッシュレスに

2017.11.22
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子どもへのお小遣いは、その渡し方や使い道の管理など、親にとってはなかなかの悩みどころの1つでしょう。いくらぐらいが適切なのか、無駄遣いをしていないか、金融の仕組みも知ってほしいなど、単にお金を渡せば良いというわけではありません。そうしたなか米国で親の共感を呼んでいるのが、子ども向けデビットカード「Greenlight」です。一体、どんな仕組みが子育て世代の共感を呼んでいるのでしょうか。

現金、クレジットに続くデビットカードが基本

小遣いは「現金」が最適との意見があります。渡した額しか利用できませんし、小遣い帳をつけさせ、子どもに管理させることで、限られたお金を計画的に利用する習慣が身につくとの期待があるからでしょう。ただ、子どもも親も、何をいつ買ったのかを含め、お金をきっちりと管理しなければなりません。

使用履歴を確認するために最近は、プリペイドカードやクレジットカードの「家族カード」を子どもに持たせるケースも増えているようです。ただ、クレジットカードの場合、実際にお金が引き落とされるまでに一定の期間があるため、ついつい使いすぎてしまう傾向もあります。オンラインショッピングやオンラインゲームなどで子どもが際限なく使ってしまい、請求書を見て初めて事態に気づくというケースも問題視されています。

これらの課題を解消するカードと言われるのがデビットカードです。銀行口座と直結し、店舗で利用した瞬間に、その代金が口座から引き落とされるカードのこと。口座の残高以上を支払えませんし、スマートフォンで利用できる専用アプリケーションを使えば、購買履歴も容易に管理できます。日本でも最近、大手銀行などがデビットカードの発行に力を入れ始めました。

利用可能な店舗やWebサイトを親が指定

このデビットカードの仕組みを前提に“子ども専用”をうたうのがGreenlightです。1つの口座を親と子どものそれぞれが管理し、お金の使い方を共有できるのが特徴だと言えます。Greenlightのユーザー数は、2017年6月に1万人だったのが、2カ月後には2万5000人にまで増えました。

Greenlightでは、子ども専用の口座を設け、そこにお金を預けます。口座は、「Greenlight」と「Spend Anywhere」の2つに分かれています。前者は、親が指定した店舗やWebサイトのみで利用できる口座、後者は、どこでも使える口座です。親が承認していない店舗やWebサイトで決済しようとしたり、Spend Anywhereの残高を超える額を支払おうとすれば、カードは使用できません。

スマホ用のGreenlight専用アプリは、親用と子ども用の2種類が用意されています。親はスマホアプリから子どもの口座に小遣いを入金したり、子どもがカードを使用すれば、その通知が直ぐに受けられ、どこでいくら使ったかを把握できます。月に1度、決まった金額を入金するといった仕組みもあるので、お小遣いを渡し忘れるということも防げます。


図1:Greenlightのスマートフォン用アプリケーションの画面例(同社Webサイトより)

カードを紛失あるいは盗難にあった場合は、アプリからカードの使用を止められます。使用の差し止めは、子ども用アプリからも可能ですが、再発行や代替カードの発行は、親が電話で連絡しなければなりません。

残高以上の支払いを親子が対話して必要性を判断

一方の子どもは、専用アプリで残高と使用できるお店などを確認できます。残高を超える支払いが発生した際には、支払い額の増額を親にリクエストすることが可能です。親は、子どもからのリクエストを専用アプリ上で承認するか拒否するかを判断。承認するなら、その場で、子どもの口座残高を増やせます(動画)。

動画:子どもとコミュニケーションを取りながら支払い可能な額を変更できることを紹介するGreenlightのビデオ(1分11秒)

残高不足は、小遣いの渡し忘れといったケースもあるでしょうし、どうしてもほしいものに出会うケースがあるかもしれません。後者の場合、子どもは専用アプリを使って、ほしい商品の写真を送ったり、なぜそれが必要なのかをチャットしたりすることで、自分の考えを親に伝えられます。親も、その場で子どもとコミュニケーションが図れるので、増額を承認しない理由などを説明できます。

子どもとのやり取りした写真などは、すべて暗号化されており、プライバシーを保護しています。社会保障番号や子どもが使っているGreenlightカードの番号など個人を特定できる情報は、Greenlight側でも保管しておらず、個人情報の漏えいリスクを抑えています。

「Yahoo! Finance」の開発メンバーらが創業

Greenlightのサービスを提供しているのは、Greenlight Financial Technologiesというスタートアップ企業です。米ジョージア州アトランタで3年前に、トム・シーハン(現CEO)、ジョンソン・クック(現ビジネス開発担当)、ジョン・ヘーゲルガンズ(現CTO)の3氏が共同で設立しました。シーハン氏とクック氏は、ジョージア工科大の卒業生、シーハン氏とヘーゲルガンズ氏は、米Yahoo!の金融関連サービス「Yahoo! Finance」の開発メンバーでした。そして3氏ともが、いくつかのベンチャー企業の創業や売却などを経験しています。

Greenlight Financial Technologiesの収益源は、月額4.99ドルの利用料とクレジットカード会社同様の加盟店手数料の2つです。月額利用料は家族単位で、子ども5人までが利用できます。手数料のみを収益源にするカードも存在しますが、子ども専用カードで毎月、大金が使われることは考えにくいので、家族単位の利用料というモデルを採用したのでしょう。

日本でも最近、デジタルテクノロジーを使って新たな金融サービスを作る動きとして「Fintech」が注目されています。デビットカード自体は既存のサービスにすぎませんが、Greenlightは、子どもの小遣いとの管理と、お金にまつわるコミュニケーションの仲介など、子どもの成長を願う親の課題に焦点を当てることで、新たなサービスを作り出しました。デジタルテクノロジーで解決できそうな課題は、私たちの周りに、まだまだありそうです。

執筆者:大西 浩二(Digital Innovation Lab)、高橋ちさ(ジャーナリスト)

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