米HireVueが提供する“AI面接官”サービス、採用候補者の将来の活躍を予測

2018.04.17
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就活の時期を迎え、リクルートスーツに身を包んだ学生たちの姿が目につくようになりました。少子高齢化を背景に“売り手市場”と言われていますが、採用する側にすれば、優秀さはもとより、自社のビジネスに、より貢献してくれる人材を採用したいことは常に変わりません。そうした人材を見極める場の一つが面接ですが、そこにAI(人工知能)を適用することで、実際の面接でも見抜くのが難しい“やる気”を見いだすサービスが始まっています。

“自撮り”した動画を面接代わりに提出

AIを使った“面接官”のサービスを展開するのは、米HireVue。海外では、米コカ・コーラや米ティファニー、米amazon.comなど大手グローバル企業など600社が採用しているといいます。日本では、人材マネジメントなどを手がけるタレンタが総販売代理店として提供しており、外資系企業のほか、デンソーや星野リゾートなど45社以上が導入しています。ただ日本でのAIを使った面接機能の提供は、日本語対応が完了する2018年6月からを予定しています。

AI機能が提供されていない現状でも日本企業が採用する「HireVue」の特徴は、Webベースのオンラインで面接ができることです。しかも、リアルタイムに対面で話すテレビ会議方式の面接だけでなく、応募者が動画を提出する形式での面接が可能です。つまり“自撮り”した自己PRビデオが履歴書の一部になるというわけです。

リアルタイムな面接ではないため、採用する側も応募する側も、場所や時間、移動のためのコストなどの制約を受けにくいというメリットがあります。結果として、より多く面談を実施できることになり、一般的な面接では出会えなかったような人物に出会える可能性が高まります。面接官ではなく、スマホやPCを使った自撮り動画ですから、応募者にすれば、面接のプレッシャーから解放され、より“自然体”の自分をアピールできるのかもしれません。

デジタル動画だから可能なAIによる人材分析

面接機会の拡大とコスト削減につながるHireVueの動画を使った面接ですが、そこにAIを組み合わせることで応募者の「才能を見抜く」という採用で最も重要な「選考の品質」を高めることに成功しているようです。予測分析機能の「HireVue Assessments(旧称Insights)」が、その機能。応募者が、その会社で将来的に活躍できるかどうかの可能性を予測できるとしています(動画1)。

動画1:「HireVue Assessments(旧称Insights)」の紹介ビデオ(1分14秒)

HireVue Assessmentsでは、システムが出す5つほどの質問に応募者は回答していきます。その画像に対し、数万のデータポイントを評価し、特定の仕事における入社後の活躍度合いを予測します。データポイントとは、回答において、どんな単語を使ったか、語彙の豊富さ、イントネーション、言葉の抑揚、顔の表情などです。

数万のデータポイントの分析結果を、関連するビジネス指標に紐付けることで、応募者の能力を示す評価値を算出します。データポイントを分析するAIは、産業・組織心理学という分野の専門家が設計したそうです(図1)。


図1:データポイントをAI(人工知能)で分析し人材の可能性を評価する(米HireVueのWebサイトより)

データポイントの内容からみれば、HireVue Assessmentsは、特定のスキルではなく、グローバル競争を勝ち抜くのに必要とされるリベラルアーツ、日本で言う“地頭の良さ”を判定しているようにもみえます。そうした部分をAIで定量化することで、スキルには現れない優秀な人材の取りこぼしを防ごうというわけです。

知識やスキルが均質化していく面接に有効か

企業との“相性”とも呼べる、応募者の将来の可能性についてはこれまで、面接官の経験や勘といった個人スキルに依存してきました。あるいは大学の先輩・後輩といった関係が、採否を左右することもあるでしょう。応募者の学業レベルが高まり、しかも同じレベルの応募者が多数集まれば集まるほど、特定の指標に基づく判断が困難になり、経験や勘、あるいは人脈といったものに頼らざるを得ないのかもしれません。

しかし、経験や勘に頼った採用では、入社後、実際には会社に馴染めなかったり、本来の持ち味を発揮できなかったりといったことも起こります。逆に採用しなかった人材の中に、会社の将来を背負って立つような人材がいたかもしれません。面接官にしても、これだけの重責を担っていると考えれば、それはそれで大きなプレッシャーを受けることになります。

人材の評価は難しいテーマです。ただ、働き方や働く場所が多様化している現在にあっては、これまでの経験と勘に頼るだけではなく、テクノロジーを使った新たな指標作りの重要性が高まっていると言えそうです。

執筆者:高橋 俊一(Digital Innovation Lab)、高橋ちさ(ジャーナリスト)

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