IoT(Internet of Things)を支える技術 インテルと富士通が協業する理由とは?

2015.06.30
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インテル・富士通は、IoTで何を変えたいのか

IT分野で今、最も勢いのある技術トレンドと言えば「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」。業界の主要プレイヤーはこぞってIoT関連の製品・サービスの強化・拡充を推し進め、市場での主導権を握ろうとしています。そんな中、インテルと富士通はIoT領域で協業を発表。富士通フォーラム2015では米インテルのIoT事業本部長を含め、リレー形式のセッションにより、それぞれの戦略や考え方を明らかにしました。

口火を切ったのは、インテル日本法人の江田麻季子社長。半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増するという、有名な「ムーアの法則」からIoTを説き起こしました。江田氏によると、「インテル創業者の一人であるゴードン・ムーア氏がこの法則を発表したのは、50年前の1965年のこと。スマートフォンはおろか、PCすら存在しなかった時代ですが、ムーア氏は「ハンディ・ホームコンピュータ」が登場し、人々の生活を変えていく」と予見していたようです。
そんな逸話を紹介しつつ、江田氏は「今後もムーアの法則に沿った製品開発を推し進め、IoTをはじめとするIT/ビジネスのイノベーションを加速させる」と訴えかけます。インテルは半導体技術、特にプロセッサの技術革新によって、社会に大きな影響を与え続けています。IoTによるイノベーションもまったく同じというわけです。

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富士通フォーラム2015の演壇で、ガッチリ握手を交わし、親密さをアピールする富士通とインテルの首脳。写真左から、富士通の香川執行役員常務と、米国インテルのデイビス上席副社長、インテル日本法人の江田社長

それだけではなく、インテルにはIoTに力を入れる必然性もあります。主力製品であるサーバー用プロセッサは企業の業務システムに多く利用されています。しかし業務システム、つまり「Systems of Record(SoR)」では今後、需要の急拡大は見込めません。新興国などで一定の需要増はあるにせよ、プロセッサの高性能化や仮想化によるサーバーの集約によって相殺される面もあるからです。

IoTのような新しい分野はSoRとは違って大きな成長の可能性があります。IoTの普及によって無数のデバイスからのデータをさばき、分析し、企業にとって価値の高い情報へと転換するために大きなプロセッサ需要が発生することが理由です。デバイスに近いところでデータを処理する、いわゆるエッジサーバーも必要とされるので、この領域での新たな需要も期待できます。
さらにIoTのトレンドとして、江田氏は「センサーとプロセッサを融合した、デバイスのインテリジェント化が一層求められる」と語ります。インテルにとってIoTに熱心に取り組むのは当然であり、自らの成長を持続させ、かつ企業・社会のイノベーションを支える新たなチャンスが到来したと言えるわけです。

膨大なセンサーデータをさばく

では、インテルはIoTに向けてどんな技術を提供しているのでしょうか。中核の1つは、機器に取り付けるセンサーなどのデバイスと、バックエンドにあるデータセンター/クラウドを結ぶ「IoTゲートウェイ」です。買収したセキュリティ・ベンダーのマカフィー(McAfee)や、子会社である組み込みOSベンダーのウインドリバー(Wind River) と共同開発したもので、ウインドリバーのマルチデバイス管理プラットフォーム「Wind River Helix Device Cloud」 を利用します。デバイスの一元的な管理と安全(セキュア)な接続、デバイスからのデータの収集・分析、デバイスに対するソフトウェアの更新などを可能にするのが特徴です。

江田氏に続いて登壇した米国インテル本社のダグ・デイビス氏は、このIoTゲートウェイの価値を話しました。「現在、産業用の組み込みデバイスの設置台数は150億台に及ぶが、その85%はインターネットに接続されていない。IoTの潮流の中でこれが様変わりし、2020年には500億のデバイスが接続される。インテルのIoTゲートウェイは、そうした大量のデバイスとクラウド/データセンターをセキュアに結び、IoTのデータフローを高速にさばく役割を担う。ユーザーやビジネスパートナーは、IoTネットワークの高いスケーラビリティとセキュリティを確保でき、結果としてIoTソリューションをスピーディに展開できるようになる」。
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インテルのIoT事業を取り仕切るデイビス氏は、IoTの可能性と、自社IoTゲートウェイの優秀さを来場者にアピール

デイビス氏は話の中でIoTゲートウェイの利用事例を2つ披露しています。1つは台湾のエアーコンプレッサ・メーカー、フーシェン(FUSHENS)社の事例。この会社では、IoTゲートウェイを通じて、製品の情報を収集し、障害の早期発見・検知などに役立てているとのこと。障害追跡の負担を20%削減し、機器メンテナンスにかかる時間も15%削減したと言います。

もう一つがマレーシアのアバコ(Abbaco Contorols)社。米の収穫量を上げるために給水を制御するIoTシステムを構築しました。「水位や太陽光発電、温度などのセンサー、3G接続機器といったデバイスからのデータを、インテルのIoTゲートウェイを介してクラウド(データセンター)に送信。天候や水位に応じてリアルタイムで給水を制御する。この仕組みにより、アバコは当該地域の稲作の水使用量を10%削減したほか、米の収穫も増進させた」(デイビス氏)。さらに「IoTゲートウェイを含むインテルのIoT関連技術は、さまざまな業種・業態の企業・組織にすでに導入され、成果を上げている」と語りました。

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