天井照明がIoTプラットフォームに、サーバー機能まで持つ米LuneraのLEDランプ

2018.10.09
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省エネの一環で急速に普及しているのがLED照明です。家電量販点などの店頭では、LED以外の電球のほうが陳列数が少ないほどです。そうした中で、米国のLED照明メーカーLuneraは、メモリーやサーバー機能までを搭載するLED照明を製品化し、オフィスフロアなどを対象にしたIoT(モノのインターネット)プラットフォームサービスにまで乗り出しています。一体、どんなLED照明なのでしょうか。

LED照明がメッシュ状のネットワークを構成

米Luneraは、シリコンバレーで2009年に創業したLED照明メーカーです。一般的な直管蛍光管や、高輝度のHID電球、CFLと呼ばれるコンパクト蛍光ランプを代替する各種LED照明を開発・販売しています。

LED照明の特徴は、電力消費量の小ささや長寿命なことですが、LuneraのLED照明は、それに加えてデジタル技術によるスマート化が図られています。「ALS(Ambient Light Sensing)」と呼ぶ近赤外線の境光センサーの搭載が、その一例。周囲の明るさに応じてLED照明の光具合をコントロールすることで、消費エネルギーを抑えます。

これだけなら驚かないかもしれませんが、このスマートランプはWi-Fi通信とBluetooth通信の機能と2ギガバイトのメモリーと、さらに2ギガバイトのフラッシュメモリー上で動作するLinuxサーバーの機能を搭載しています。これらの機能によりスマートランプは、オフィスフロアなどに散らばる各種デバイスを集約し、それらをクラウドに結び付けるコンピューターとして動作します。いわゆる「エッジコンピューター」と呼ばれる仕組みです(図1)。


図1:Luneraのスマートランプがデバイスのゲートウェイになりクラウドと連携し、室内環境をコントロールする(米Luneraのホームページより)

Wi-Fi通信機能は、フロア天井などに設置されたスマートランプ間をメッシュ型のネットワークで接続するために利用します。これにより、フロア内のどこにいても、クラウドにつながる環境を実現できます。いずれかのスマートランプがクラウドにつながっていれば、あるスマートランプにつながれたデバイスは、複数のスマートランプを経由しながら、クラウドにつながっているスマートランプにまで到達し、そこからクラウドにつながれるからです。

センサーやビーコンで人やモノの位置を把握

Bluetoothの通信機能は主に2つの役割を担います。1つは、各種デバイスの接続です。1つのスマートランプに最大50のIoTデバイスを接続できます。それらの制御やデータ収集、クラウドとの送受信などをLinuxサーバーで処理します。

Lunera自身、いくつかのデバイスを製品化しています。その1つが、天井や壁に設置する「PIR(Passive Infrared Ray)センサー」です。人感センサーの一種で、人が今、どの部屋にいるか、フロアのどの辺りにいるかなどを検知できるようになります。これに基づき、照明や空調などを制御すれば、無駄なエネルギー消費を抑えられます。

もう1つの役割は「ビーコン」です。たとえばスマートフォンといったデバイスが今、どのスマートランプとつながっているかを管理することで、フロア内のどこに、そのスマートフォンがあるかが分かります。つまり、スマートフォンを持って移動している人の動きを追跡できるのです。人があるエリアに入ったら電源を入れるとか、エリアを離れたら電源をきるといったことが可能になります。

こうした環境を設定するための各種アプリケーションも用意しています(図2)。スマートフォン用のアプリケーションもあり、さまざまな設定がスマホから可能です。


図2:Luneraのスマートランプを導入・設定するためのアプリケーション画面の例(米Luneraのホームページより)

クラウドの機能をAPIで公開し関連製品の開発をうながす

これらの仕組みは、Luneraが運営するクラウドから提供されます。ただLuneraの場合、自社でサービスを開発・提供するだけでなく、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を公開することで、Luneraのスマートランプを使ったIoT環境に接続するハードウェアや、デバイスをコントロールするソフトウェアなどを第3者が開発できるようにしています(図3)。


図3:APIを公開し第3者による開発をうながす(米Luneraのホームページより)

ハードウェアに向けては、OEM(相手先ブランドによる生産)プログラムも提供します。スマートランプを開発するためのリファレンスデザイン(参照設計)を用意し、そのリファレンスデザインに沿って設計し、Luneraが提供するファームウェアを組み込めばスマートランプが完成します(図4)。OEMプログラムで開発したスマートランプは当然、Luneraが提供するクラウドサービスを利用できます。


図4:OEMプログラムで提供するスマートランプ用のモジュールの例(米Luneraのホームページより)

ソフトウェアについては、マーケットプレイスを開設することで、Luneraのスマートランプに対応するアプリケーションの流通もうながしています。

IT機器はすでにある照明などに組み込まれていく?!

IoT時代には、多くのデバイスがネットワークにつながっていきます。そのために現状は、ネットワーク機器ベンダー各社が提供する無線LAN装置といったIT機器を設置しています。しかし、Luneraのスマートランプをみれば、そうしたIT機器は、すでにオフィスなどに存在する機器へと組み込まれていくのかもしれません。

そうなれば、IT機器の物理的な姿はオフィスや家庭内では見えなくなります。一般に無線LAN装置などを設置する場合は、そのための電源の手配も必要になりますが、Luneraのスマートランプの場合であれば、照明のための電源は用意されていますから、IoTのためだけに電源を考えなくても良いというメリットもあります。

「デジタル化によって業界の垣根があいまいになっていく」とよく言われますが、IT業界と他業界の垣根も。Luneraのスマートランプにみられるように、あいまいになっていくのかもしれません。

執筆者:足立 剛(Digital Innovation Lab)、志度 昌宏(DIGITAL X)

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