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デジタル化だからこそ実践したいリアルな現場見学〜西日本鉄道の車両整備工場〜

2017.02.16
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筆者は工場など現場の見学会があると、できるだけ参加するようにしています。デジタル化が進むからこそリアルな現場を知ることが大事だと思っていますし、実際、頭の中で想像するのと現場を見るのとでは大きく違うことが少なくないからです。残念なのは、見学はOKでも写真撮影はNGなことが多いこと。しかし今回見学させて頂いた西日本鉄道の車両整備工場では、一部を除いて撮影許可を頂きました。車両整備の現場の模様をお届けします。

車両整備ではネジ1本に至るまで分解しチェック

電車の整備は、走行距離ごと、あるいは期間ごとに実施することが決まっています。整備時は車両を分解したうえで、各部分を点検したり取り替えたり、あるいは補修したりします。ドア1枚が開かない故障であっても安全運行に支障を来すだけに、パッキン1枚、ネジの1本に至るまで分解しチェックしています。この車両整備にIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を適用すれば、どうなるのか?筆者はそんなことを考えながら見学してきました。

写真1の奥に見えるのが、台車から分離された車体です。車体の下には台車の代わりに、手前にみえる黄色い“馬”を置いて、整備や修理を行います。一方の台車は、骨格部分や車輪部分などに、さらに分解されていきます(写真2)。

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写真1:台車から分離された車体。手前に見えるのが車体を載せる“馬”

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写真2:工場の一角には台車の骨格部分がズラリ。なかなか壮観です

車輪部分は、車輪や車軸へと分解します。取り外した車輪は、表面が凸凹(でこぼこ)になっていれば削って利用します。削れないほどに使い込んだ車輪は廃棄し、新しい車輪を装着します(写真3)。

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写真3:車軸に付けられた状態の車輪(下)。当然、分解されます。左上が、これまで使っていた車輪、右上は新品の車輪です

写真4は、電車の心臓部ともいえるモーターです。左側はモーターの外側、右側はモーターの内側です。電車用となると、普段目にするような一体化したモーターではなく、内と外があるわけですね。

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写真4:電車のモーターの外側(左)と右側

電力を取り込むためのパンタグラフも重要部品の1つです(写真5の左)。また電車にはドアの駆動用途など様々なアクチュエーターが(動作機構)が搭載されています(写真5の右)。それらも1つずつ点検・整備されます。

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写真5:取り外されたパンタグラフ(左)と各種のアクチュエーター

今回、車両整備工場を見学させてくれた西日本鉄道は、福岡の中心地の天神と大牟田などを結ぶ福岡市の私鉄です(ちなみに記事のトップ画像にあるのは、西鉄が近く投入する新型車両です)。IT活用の面では特段、先進的な印象は強くないかもしれませんが、独自の交通系ICカード「Nimoca(Nice Money Card)」(発行主体は子会社のニモカ)を発行しているのが特徴です。発行枚数は300万枚と、JRや首都圏の「PASMO」を除くと全国でトップクラスです。

Nimocaの原動力の1つが、バスの区間定期機能を実装していることです。詳細は省きますが、「交通系ICカードの仕様上、バスに使える容量はわずか32バイト。西鉄は1万以上のバス停と経路を運用しているので単純には実装できない。そこを工夫し、乗車区間や経由を指定できるようにした」(同社)と言います。この点が評価され、北海道函館市が同カードの採用を決定。2017年3月から運用が始まります。

筆者はこれまでにも、大規模なデータセンターのほか、大手運輸業の物流センター、産業用ロボットや食品、陶器の工場、巨大な鋳物工場などを見学し、企業のものづくりや現場力の凄みを体感してきました。まさしく“百聞は一見にしかず”です。今回、西鉄の車両整備工場の様子をまとめてみましたが、現場見学の醍醐味や大切さをお伝えできたでしょうか。みなさんも機会を見つけて是非、現場を見学してみてください。

執筆者:田口 潤(IT Leaders)

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