ファンの力でチームをナンバーワンに!RIZAPが開いた湘南ベルマーレをエンハンスするハッカソン

2018.09.25
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「結果にコミットする」のフレーズで有名なフィットネスジムなどを経営するRIZAPグループ。2018年にはサッカーJ1の湘南ベルマーレの経営権を取得しサッカーファンを驚かせました。そのRIZAPが2018年9月1日と2日の1泊2日で、湘南ベルマーレのためのハッカソンイベントを開催しました。

RIZAPグループは、長きにわたって市民クラブだった湘南ベルマーレを傘下に収めると同時に中期的目標として次の2つを掲げました。(1)2020年までにJ1リーグ・天皇杯・ルヴァン杯のいずれかのタイトルを獲得する、(2)2020年までにスタジアム収容率でNo.1になる、です。

この中期目標を達成するための活動の一環として開かれたのが「RIZAP GROUP × BELLMARE Hackathon」と題したハッカソン。「J1優勝を目指すためのソリューション部門」と「スアジアムを満員にするアイデア部門」があり、会場となった神奈川県平塚市のホテルサンライフガーデンには合計10チームが集まりました(写真1)。


写真1:平塚市内のホテルで開かれたハッカソンの様子

「タイトル獲得への道」には3チームが参加

まず「J1優勝を目指すためのソリューション部門」は、2020年までにJ1リーグ・天皇杯・ルヴァン杯のいずれかのタイトル獲得を目指すためのチーム強化策がテーマです。

これに対し、チーム「いのべトリオ」は、ドローンを使って動画を撮影し、ほんの数分前のプレー動画をタブレットに表示するとともに、コミュニケーションアプリと連携することで、コーチがリアルタイムにアドバイスを送ったり対話したりができたり仕組みを考えました。

「トレーニング効果+100%」をコミットする提案をしたのはチーム「ホジジッチ」です。フィードバックの質の向上が練習の質の向上につながることを前提に、練習シーンの撮影映像にタグ付けすることで、短時間で映像をシェアできる仕組みを開発しました。そのデモでは技術的な対応力が高く評価されました。

最優秀賞を獲得したのはチーム「Bulk up」の「勝ち点1を3にコミットする」という提案です(写真2)。ウェアラブルデバイスで取得した選手のデータなどから運動量や疲労度を測り、それに応じてスタジアムの大型ビジョンに応援メッセージを出したり、スマホを使ってオンラインで応援したりを可能にします。


写真2:「J1優勝を目指すためのソリューション部門」で最優秀賞を獲得したチーム「Bulk up」

ベルマーレでは実は、選手一人ひとりの映像を個人宛に送信しており、アドバイスなどもLINEでやり取りしています。

曺 貴裁(チョウ・キジェ)監督は、いのべトリオの提案に対し、「この提案の特徴は即時性にあり、ゴールキーパーをはじめとしたポジショニングをすぐに確認できます。数分前の映像というのも試合中に調整できるほど直近であることが有効です。私が抱えていた問題でもありました」と高く評価しました。

最優秀賞のBulk upの提案については、「バイタル情報を選手にリアルタイムにフィードバックできる?」と質問を投げかけるほか、休憩時間には大きな身振り手振りで語りかけるなど、とても高い興味を示しました(写真3)。


写真3:休憩時間に参加チームに語りかける曺 貴裁(チョウ・キジェ)監督(右)

スタジアムを満員にする増加策には7チームが参加

7チームが参加したスアジアムを満員にするアイデア部門では、多くのチームに共通して見られたのが、(1)新しくサッカー(ベルマーレ)に興味を持ってもらうにはどうするか、(2)一度観戦に来たファンをリピーターにするにはどうするかといった観点です。そこに各チームがプラスアルファの視点を持ち込み、増員策を考え出しました。印象深い提案をいくつか紹介します。

チーム「Dear.Woman」が提案したのは「インスタ映えするスタジアム体験」です。ベルマーレの選手がプロデュースし、RIZAPが監修することで美容にも良いカクテルを開発するというもので、プロデュースした選手に愛着を持ってもらいながらインスタ映えも実現できるので、リピート率を高められるのではないかというのです。提供価格もプロ野球での実売価格を参考にするなど隙のない提案でした。

チーム「stadium friends」は、サッカー専用ではないスタジアムの弱点だとされる陸上トラックを、プロジェクションマッピングによって広告スペースとして活用することを提案しました。ベルマーレの本拠地「Shonan BMWスタジアム平塚」は陸上競技場でもあり、トラックがあります。関係者は「それを逆手に取るアイデアは素晴らしい」と高く評価しました。

最優秀賞を獲得したのはチーム「マッシュ&ルーム」(写真4)。ベルマーレファンの女子を「ベルガール」と名付け、女性ファンの取り込みを提案しました。そのために、スタジアムのAR(拡張現実)撮影ポイントで専用アプリを使って撮影すれば、ARで表示される選手とのツーショット写真が撮れるというサービスを開発しました。


写真4:スタジアムを満員にするアイデア部門で最優秀賞を獲得したチーム「マッシュ&ルーム」

ツーショット写真に選ばれた選手には、その画像が送られ、選手がスマホ上でサインして返信することで、サポーターには選手のサイン入り写真が届いたり、その写真を使ったオンリーワングッズを販売したりする仕組みも考えました。

曺監督は「サッカーを知らない人へのアプローチが大切だと思っています。そこに合致する仕組みではないでしょうか」と新しいファンの獲得につながるアイデアに感心していました。

実現性のある提案にRIZAPも満足

最優秀賞を獲得したBulk upとマッシュ&ルームには、それぞれ優勝賞金10万円と、選手のサイン入り練習ウェアがサプライズプレゼントとして手渡されました。

Bulk upのメンバーは「とても楽しいハッカソンで優勝できて嬉しいです。ベルマーレのことを自分事としてとらえ、ベルマーレが優勝できるために何ができるかを考えたことが優勝につながりました。ユニフォームは優勝と同じくらい嬉しいです!」とコメントしました。

今回、「RIZAP GROUP × BELLMARE Hackathon」をモデレートしたのはEyes, JAPANの山寺 純氏(関連記事『福島・磐梯でIoTとセキュリティのハッカソン、IoT × Security Hackathon 2016から』)。数多く手がけるハッカソンと比べても手応えがあった様子で、次のようにコメントしています。

「選手の練習をグラウンドで見ることで、ハッカソンの参加者も、それぞれのテーマに深く感情を込めて取り組めたようです。さまざまなハッカソンに参加しているハッカソン好きだけでなく、地元のベルマーレファンも参加したことで、地元チームのイベントである意義も見いだせたように思います。」

RIZAP グループの取締役 事業基盤本部 本部長の岡田 章二 氏は、「オープンイノベーションの考え方で、色々な方々と健康やスポーツをこれからも盛り上げて行きたいと考えています」と、RIZAPグループとしての意気込みを語っています。

ハッカソンイベントでは、優秀作品であってもアイデア段階にとどまり実際のシステムとして実現しにくい提案も出てくるものです。今回のハッカソンでは、1泊2日という短期間にもかかわらず審査員を納得させるだけのプロトタイプを実装しデモンストレーションまで実施しているチームが大部分でした。ベルマーレに情熱を持つファンと、ソフトウェアの実装力を持つエンジニアとが、うまくマッチングした結果なのでしょう。

執筆者:奥野 大児(ライター/ブロガー、https://twitter.com/odaiji

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