日本企業に求められるのは「攻めのIT」

2015.05.14
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調査に見る「ITと経営」のあるべきカタチ

「ITへの積極投資で会社は強くなれるのか、売上げ・利益を増すことができるのか」――。これは企業の経営層や事業責任者、さらにはCIOが長く向き合ってきたテーマです。その解を求めるうえで参考になる調査を一般社団法人・電子情報技術産業協会(JEITA)が実施し、公表しています。この調査データを基にしながら、IT投資のこれからのあり方について考えて見ましょう。

「攻めのIT投資」積極派は5割が増収増益

IT支出のおよそ7割が既存システムの維持管理に費やされ、ビジネスの成長・発展に資する新規IT支出は3割以下。このことからITの経営への貢献度が低いとされ、IT投資の軸足を「守り」から「攻め」へと転じることの重要性が、過去、さまざまに唱えられてきました。
ここで言う「守り」のIT投資の典型例は、ITコストを切り詰めるためのIT投資です。既存の事業/業務を支えるITのコストが下がれば、その事業の利幅は大きくなるわけですね。しかし国内企業のIT支出は売上高の1~2%が平均的ですので、仮にIT支出を10%削減できたとしても、総売上げの0.1%~0.2%分の経済効果しか得られない計算になります。
「削った分を集積すれば、それなりの額になるのでは?」と思われるかも知れません。しかし変化の激しい今日、既存事業の売上げやその伸びが長期的に維持されるとは考えにくい面があります。中核事業がいきなり寿命を迎え、売上げが下降線を辿り始める可能性も否定できません。ITコストをいくら削ったところで経営を支え切れないのです。とすればITの技術革新をITコストの削減のためだけに使うのではなく、事業の成長(売上げ・利益の拡大)や発展(イノベーション)に積極的に生かすのが得策との考えが必要になるでしょう。
そんな中で問題になるのが、「ITへの積極投資で、本当に売上げや利益が伸ばせるのか」、あるいは「ITでビジネスのイノベーションが引き起こせるのか」という点です。企業の経営層や事業責任者にすれば、この辺りに大きな不安を抱えたままでは大胆な投資に踏み切ることはできませんから当然です。
では、実際にはどうなのでしょうか。ITへの積極投資は、企業の成長・発展につながっているのでしょうか――。
そんな疑問への解となりうる興味深い調査データがあります。電子情報技術産業協会(JEITA)の「国内企業における『攻めのIT投資』実態調査」リポートがそれです(2015年2月発表)。調査会社であるIDC Japanによる協力の下、JEITAが2014年9月に実施しました。調査対象は、国内企業(連結従業員数500人以上)の経営者/ビジネス・リーダー(IT部門以外のマネジャー層)に限定。最終的に311件の有効回答を得ています。
それによると、「攻めのIT投資」(=企業の成長・発展に直接かかわるIT投資)に積極的に取り組む企業は、その半数以上が(3年前に比して)売上・利益をともに増進させているという結果なのです(図1参照)。

3年前と比較した「売上・利益の増減」と、「攻めのIT投資に対する積極性」との関係

図1:3年前と比較した「売上・利益の増減」と、「攻めのIT投資に対する積極性」との関係

なかでも、「攻めのIT投資」に「極めて積極的」と回答とした企業の場合、その7割が売上・利益を伸ばしており、「売上高利益率」も全体平均より6.4%も高い結果になりました。攻めのIT投資に対する積極的な姿勢と、売上・利益には正の相関があるというわけです。
ちなみに攻めのIT投資の1つと言える「ビッグデータ活用」に向けた投資についても、似た結果になっています。総務省がまとめた「平成26年版・情報通信白書」によれば、調査回答企業(1,000社)の61.2%が「ビッグデータ利活用は、コスト削減に効果あり」と答え、53.9%が「売上向上に効果あり」と答えているのです(図2参照)。

ビッグデータ利活用の効果 (資料:総務省『平成26年版 情報通信白書』)

図2:ビッグデータ利活用の効果(資料:総務省『平成26年版 情報通信白書』)

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