日本企業に求められるのは「攻めのIT」

2015.05.14
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調査に見る「ITと経営」のあるべきカタチ

カギは経営・ビジネス・ITの一体化

JEITAのリポートを見ると、「攻めのIT投資」に積極的な企業は、全体の4割程度とまだ少数派。ですが、「攻めのIT投資」に消極的な企業も、その8割強(82.9%)が「ITによる競争力強化」の必要性を感じているとJEITAは言及しています。
ところで企業が「攻めのIT投資」に大きく踏み出し、成功をつかむためには何が必要なのでしょう。調査回答者のうち、「攻めのIT投資」に「極めて積極的」な回答者の半数近く(43.5%)が「ITによる経営・ビジネス革新の原動力」として、「経営トップ(社長/CEO)のリーダーシップ」を挙げています(図3参照)。

攻めのIT経営へ変革する原動力

図3:攻めのIT経営へ変革する原動力

過去、日本企業のIT化は、おおむね現場の利便性を求める声に応える形で行われてきました。こうしたボトムアップは大事ですが、今日ではトップダウンも必要なのかも知れません。それもあって、JEITAの調査では「攻めのIT投資に対する積極性」の高さに比例してCIOの設置率が高まる傾向も見られます(図4参照)。

図4:CIOの設置状況と、「攻めのIT投資に対する積極性」との相関

図4:CIOの設置状況と、「攻めのIT投資に対する積極性」との相関

つまり企業の成長・発展に資するIT活用を推進するためにはCIOの存在が書かせず、同様に情報システム(IS)部門も、IT戦略活用の牽引車として相応の役割を演じていなければならないのです。
現実には、国内企業の経営者・事業責任者の多くが、ビジネスのイノベーションをともに推進するパートナーとして、自社のIS部門にもの足りなさを感じています。実際、JEITAの調査回答者(企業の経営層や事業部門マネジャー)の多くが、「攻めのIT投資を阻むもの(=IT投資を積極的に推進していくうえでの課題)」として、「ITと業務/ビジネスとを結ぶ人材の不在」(回答企業全体の回答比率:33.1%)や「情報システム部門の提案力不足」(同28.1%)を挙げています。期待に応え切れていないわけですね。
このような現状を踏まえて考えると、「攻めのIT投資」を推進し、投資を企業の実利へと転換するには、まずは経営トップがリーダーシップを取り、経営・ビジネス(事業部門)と情報システム(IS)部門との連携を強化する必要があります。「攻めのIT投資」とは、ビジネスの成長・発展のための投資であり、その成否の最終責任は経営トップが背負います。ですから経営トップがリーダーシップを発揮しなければ、「攻めのIT投資」が前に進まなくなるのは自然な成り行きです。
もちろん、ITによるビジネス改革・イノベーションの取り組みが単一事業内で完結するものでしたら、その事業の責任者が陣頭指揮を執ったほうが効率的かもしれません。しかしITによって事業横断的な改革や新サービス/ビジネスの創出を図るような場合には、それでは難しいでしょう。
そしてITによるイノベーションの取り組みは、えてして複数事業部間の連携を強く求める特性があります。その意味で経営トップ、そして社内事業とそのプロセスを俯瞰できるITの責任者――つまりはCIOが重要。両者がタッグを組み、事業部門を巻き込みながら、ITによるイノベーションを推進するのが理想的なカタチと見なせるのです。
ちなみに公益財団法人の日本生産性本部が2014 年 12月に公表したリポートによれば、日本の労働生産性(2013年における就業者 1 人当たり名目付加価値)は、OECD(経済協力開発機構)加盟 34 カ国中22 位で、「20年連続G7(主要先進7カ国)中最下位」というポジションです。米国(世界3位)と日本との労働生産性には1.6倍近くもの開きがあるとの指摘もあります。
その米国や欧州の企業はすべてではないにしろ、「経営・ビジネス・IT」との一体化を当然のことととらえ、CEO、CIO、そして事業部門が密接に連携しながらITによる成長・発展の機を常にうかがっているとされます。「CEOが変わると、必ずCIOも変わる」のは、そんな欧米の常識からくるわけです。
そんな企業と日本企業は競争しなければなりません。例外はあるにせよ、ITの力を生かさない限り、競争力を保つことはおろか、競争に参加することすらできなくなる可能性があります。もし、経営・ビジネスとITとの間に壁があるのなら、早急にそれを取り払い、「攻めのIT投資」で次の成長・発展の機をつかむことを本気で考える必要があるのではないでしょうか。

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