観光旅行は“手ぶら”が常識に?! あんな場所、こんな場所をシェアリング

2017.10.26
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2020年の東京オリンピック/パラリンピックを前に“インバウンド”と呼ばれる訪日外国人の数が増加しています。それに伴い、彼らを対象に「手ぶら観光」を可能にするためのサービスも増えています。これまでも手荷物預かりや宅配といったサービスはありましたが、宿泊施設や公共交通機関など、限られた場所での提供にとどまっていました。新たな「手ぶら観光」のためのサービスは「シェアリング」の概念を採り入れています。何をシェアしているのでしょうか。

伸びるインバウンドと手荷物預かり

訪日外国人旅行者数は、2016年に約2400万人と、2012年に比べ約3倍にまで増えました。このまま順調に伸びれば2020年には政府目標の約4000万人に到達する見込みです(みずほ総合研究所の予想)。

観光旅行の課題の1つに手荷物があります。特に海外からの旅行者の場合、大きなスーツケースやバックパックを持って移動する姿を良く見かけるようになりました。多くの観光客が訪れる施設や公共交通機関では既に、そうした大型手荷物の扱いや保管場所の確保が問題になってきています。

大型手荷物を扱うサービスとしては古くから駅での手荷物預かりがあります。ここ最近は、ヤマト運輸や佐川急便といった大手配送事業者が駅などにサービス窓口を開設し、行政や観光協会と連携しながら、手荷物の一時預かりや当日中に宿泊先にまで手荷物を届けるといったサービスを始めています。

JTBとパナソニック、ヤマト運輸の3社は2018年1月から、訪日外国人旅行者を対象に手ぶらでの観光を可能にする新サービス「LUGGAGE-FREE TRAVEL(ラゲージ・フリー・トラベル)」を開始します。JTBの海外支店や提携代理店が提供するツアー客に向け、空港に着いたときから手ぶらでの移動を可能にします。ツアー客はPCやスマホから予約サイトへアクセスし専用のQRコードを購入することで、空港や宿泊施設の窓口ではQRコードを見せるだけで伝票を書くこともなく荷物を預けられます。

こうしたサービスは駅や宿泊施設など利用場所が限られるほか、配送が中心に位置付けられています。これに対し、コインロッカーやトランクルームの仕組みにならったシェアリングサービスが登場しています。

喫茶店や小売店の空きスペースをシェア:ecbo cloak

コインロッカーの使い勝手をシェアリングサービスで提供するのはecboが提供する「ecbo cloak」です。カフェやお店などの遊休スペースをシェアし、そこに手荷物を預けられるサービスです。

動画1:「ecbo cloak」の紹介ビデオ(1分23秒)

旅行中、コインロッカーを利用する機会は少なくありませんが、ほとんどは駅付近の設置であり、大きな荷物をもって慣れない場所を探し回ったり、やっとコインロッカーにたどり着いても空きがなかったりという経験をされた方も少なくないでしょう。

ecbo cloakでは予め登録されているカフェやお店などに荷物を預けられます。スマホを使って近くにある店舗を捜し、日時と個数を指定して予約ができます。当日は直接店舗に荷物を持って行き引き渡すだけ。料金はバッグ類が1日300円、スーツケース類が1日600円です。

利用料金は引き渡し完了時にオンラインでクレジットカード決済されるので現金は不要です。外国人観光客の利用を想定し、アプリケーションは、日本語・英語・中国語(繁体・簡体)・韓国語に対応しています。

荷物を預かる店舗側は、預かった手荷物の写真を撮り、証明メールを発行して荷物を保管します。スタッフが常駐している必要はありますが、遊休スペースの有効活用による副収入に加え、手荷を預かるのをきっかけにお店の紹介ができるなど新たな集客も期待できます

個人宅の空きスペースをトランクルームに:monooQ

もっと大きな荷物がある、滞在期間が長い、といったニーズに対し、個人宅の空きスペースをシェアするサービスが、libtowが提供する「monooQ」です。

monooQは、個人が所有する部屋やクローク、倉庫などの空きスペースで荷物を預かるC2C(個人間)サービスです。ecbo cloak同様に、Webアプリケーションを使って利用可能な場所を捜し予約します。ただ荷物の預け入れや取り出しの条件は貸し主と直接メッセージをやり取りし、決済も事前に完了させます(図1)。


図1:「monooQ」の使い方(libtowmのプレスリリースより)

預けられる期間は、1日からといった短期でも1カ月以上といった長期でも可能です。ダンボール箱でも、家電や家具なども預けられます。旅行中に気軽には預けられないかもしれませんが、個人宅などであれば、観光ルートによっては意外と使いやすい場所が見つかるかもしれません。

料金や荷物の大きさ/量などは場所を貸し出す側が設定します。荷物の受け渡し場所も相談によって変更できます。長期の預かりでは、観光旅行だけでなく、留学や単身赴任などの際にも利用できそうです。

遊休資産の見直しが新たなビジネスにも

シェアリングサービスといえば、米国の「UBER」や「Airbnb」など、クルマや宿泊施設を対象にしたものが知られています。日本では業界の規制などがあり、海外同様には普及していませんが、そうした規制も2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けて一部、緩和が始まっています。

訪日外国人旅行者を対象に考えられたサービスも、私たちが観光や買い物を楽しむ際にも便利に利用できそうです。その視点から私たちの身の回りにある遊休資産を見直してみると“目から鱗”のような新しいビジネスが生まれ、私たちの生活の中にシェアリングエコノミーの概念がもっと浸透していくかもしれません。

執筆者:朴 理紗(Digital Innovation Lab)、高橋ちさ(ジャーナリスト)

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