テクノロジーが変える“これからの日常”、Super Bowl 2017のCM合戦から

2017.03.16
リスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

アメリカ最大のスポーツイベントである「Super Bowl」。その人気の高さから、テレビ放映中に流れるCM(コマーシャル)においても特別なシーズンになります。Super Bowl専用CMを作成する各社は最大限に工夫を凝らした映像を用意しますが、中には最新テクノロジーを先取りした“これからの日常”を描くケースもあります。2017年2月に実施された「Super Bowl 2017」で放映されたCMから、いくつかを紹介します。

Super Bowlは、プロのアメリカンフットボールリーグNFL(ナショナルフットボールリーグ)の年間勝者を決める大会です。毎年2月上旬の日曜日に開催されるSuper Bowlは「スーパーサンデー」とも呼ばれ、米国人のほとんどが試合の行方を見守っているとされ、テレビ放映においては年間の最高視聴率を記録するほどです。そのため、Super Bowlの放映中に流れるCMの広告費は30秒当たり500万ドル(5億6000万円超)ともいわれ、広告料を払う各社もSuper Bowl専用のCMを作成します。専用CMでは、普段のCMでは控えられているようなユーモアあふれる表現も少なくなく毎年、人気ランキングが作成されるほどです。

そんなSuper Bowl専用CMですが、実はデジタル化によって実現される日常の近未来が描かれているケースも登場しています。これらのCMからは、多くのスタートアップを生みだしている米国において、デジタルテクノロジーが、どのようにとらえられているのか、あるいは身近に感じられているのかをうかがい知ることができます。2017年2月5日にヒューストンで開催されたSuper Bowl 2017のために作成されたCMの中から、筆者が「これからの日常に入り込む可能が高い」と感じたものをいくつか紹介します。

米Google:音声認識が浸透したスマートホーム

最初に紹介するのは、米GoogleのCMです(動画1)。同社が一般家庭向けに展開を進めるスマートホームの仕組みである「Google Home」を、帰宅や帰郷のシーンを中心に紹介しています。システムを反応させる「OK, Google!」の言葉と共に、様々な場面での用途を示しながら、Google Homeが、その場にいる人々にとって有用かを表現しています。メッセージは「Home by you. Help by Google.」です。Google Homeは米国では既に発売済みで、米Amazon.comの「echo/Alexa」との競争も始まっているだけに、このCMの内容は、もう既に現実なのかもしれません。

動画1:米Goggleによる2017 Super Bowl Commercial

米FritoLay:パッケージが飲酒量を検知しUberと連携

次は、米Fritolay(フリトレー)のCMです。Fritolayは日本では、「Doritos(ドリトス)」や「Mike Popcorn(マイク・ポップコーン)」で知られていますが、紹介するのはトルティーアチップスとサルサのブランド「Tostito(トスティート)」で作成したものです。家庭やスポーツバーなどでも観戦されるSuper Bowlでは、同社のスナックや酒類などが大量に消費されることを受けて、飲酒運転防止をテーマにしています。メッセージは「DON’T DRINK AND DRIVE.THAT’S HOW WE PARTY.」です。

CMでは、Tostitoのパッケージに息を吹きかけるとアルコールが検知され、一定量を超えていると「Don’t Drink and drive」と表示。さらに、パッケージに記載されている「UberCode」をスマホでタッチすれば直ぐにタクシー配車サービス「Uber」につながりタクシーが呼べるというもの(動画2)。Super Bowl当日に同社製品の購入者にはUberで利用できるクーポンコードを提供するという念の入れようでした。このパッケージは実在しませんが、本当にあっても不思議ではないアイデアではないでしょうか。

動画2:米FritoLayによる2017 Super Bowl Commercial

米H&R BLOCK:税務処理を「Watson」で最適化

次は、税務サービスを手掛ける米大手H&R BLOCKのCMです。同社が米IBMのコグニティブコンピューティング技術「Watson」を使って取り組んできたことを説明しており、近未来ではなく、既に現実です(動画3)。コンセプト的なCMで、上の2つのCMとは異なり具体的なイメージはわきづらいかもしれませんが、同社は7万4000ページ以上の税法をWatsonに学習させることで、税額控除など顧客が最適な納税ができるよう支援しています(関連記事)。

動画3:米H&R BLOCKによる2017 Super Bowl Commercial

韓国・現代自動車:3D VRカメラによる体験共有

最後は韓国の現代自動車が作成したCMです。自動車とは直接、関係はないストーリーで、ポーランドにある米軍基地と、そこに所属する兵士の家族とを360度のフルスクリーンを使ってSuper Bowl観戦を共有しようとするもの(動画4)。メッセージは「Watching the Super Bowl is amazing.Watching it with the ones you love is better.」です。選ばれた3人の兵士が専用ブースに、彼らの家族はSuper Bowlの会場で観戦していますが、テクノロジーによって何カ月も会っていない家族が再会する場面は感動を呼ぶでしょう。当日は、この様子を撮影した映像を直ぐに編集し、ゲーム終了直後に放映しました。

動画4:韓国・現代自動車による2017 Super Bowl Commercial

Appleの「Macintosh」もSuper BowlのCMから

いかがでしたでしょうか。Super BowlのCMとしては1984年に米Appleが初代の「Macintosh」のCMを流し、そこから今のAppleの成長につながったとされています(動画5)。実際、H&R BLOCKや現代自動車のCMなどは、いずれもフィクションではなく、今あるテクノロジーで実際に実現されている、あるいは実現可能な世界が描かれており、こうした例が“日常”になっても不思議はありません。

動画5:米Appleが1984年にSuper Bowlで流したCM

今回紹介したCM以外にも“これからの日常”を示唆するCMがあったかもしれません。みなさんは、これらのCMから、どんな“これからの日常”をイメージし、それを希望されるでしょうか。

執筆者:谷村 大佑(Digital Innovation Lab)

EVENTイベント