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米国発DIY工房「TechShop」が日本初上陸、アイデアを基にビジネスにまで発展させる「場」になれるか

2016.03.24
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米国発の会員制DIY工房「TechShop」(URL:http://www.techshop.jp/)が2016年4月、東京・港区にあるアーク森ビル3階にオープンします。本格的な各種の工作設備が定額料金で使い放題。専門クラスで設備の利用方法を学べたり、多様な人々が集まったりすることで、各自のアイデアを形にするだけでなく、そのアイデアを基にエコシステムを築き、ビジネスに発展させる「場」になることも目指しています。新たなイノベーションへの期待が高まるTechShop。まずは、どんな施設なのかを見てみましょう。

個々人のアイデアを最新設備で形にできる

日本初上陸となるTechShopのフロア面積は1200平方メートル。最大天井高が8メートルもあり広々とした空間です(写真1)。そこに金属加工から溶接、木工、樹脂加工、テキスタイル、カラーリング、電子工作、3Dスキャナーと3Dプリンターまで各種の工作設備が並びます(図1)。その種類は50を超えます。

TechShop内の様子
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それぞれのエリアにある工作機械は、すべて定額料金で予約制ながら使い放題。初めてでも工作設備を使いこなせるように、工房内で使い方教室を開いてくれることもあり、初心者でも必要な知識を確実に学べます。さらに専門知識を持ったトレーナーである「ドリームコンサルタント」が常駐し、より専門的なサポートを受けることもできます。

ドリームコンサルタントは、工作設備の利用法を教えるだけでなく、モノづくりや会員同士のコミュニケーションを促進する役目も担っています。会員同士のマッチングなど幅広く会員をサポートしてくれるようです。米国のTechShopではドリームコンサルタントが、アイデアに興味を示す投資家を紹介した事例もあるそうです。

広い作業エリアに加え、ワークスペースやセミナールームも併設され、企業人やクリエーター、学生、地域コミュニティなどから様々な人が集まれる開かれた環境になっています(図1)。個々人が持つアイデアをプロトタイピングして形にするために必要な人・モノ・知識の3面から環境が整っているといえます。そうした充実したDIY環境が六本木というビジネスパーソンが集まりやすいところに誕生することも、TechShopの大きな特徴なのでしょう。

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Techshopのフロアマップ(Techshopの顧客向け資料より)

米TechShopではビジネス化の様々な成功事例も

TechShopは米国西海岸で2006年に誕生しました。日本上陸は遅いようにも感じるほどです。その間に、米国のTechShopではビジネスとして成功している事例が多数誕生しています。いくつかをご紹介します。

TechShopでの企業イベントの例

スマートフォンを使った電子決済「Square」(URL:https://squareup.com/jp

スマートフォンのイヤフォンジャックにカードリーダーを装着し電子決済を可能にする「Square」。大規模なクレジットカード決済システムを使わず、スマホやタブレットと組み合わせるだけで簡単にカード決済ができるようにしたSquareは、小規模店舗などでよく利用されています。日本でも既に多くの利用事例が見られます。

折りたたみ式カヤック「ORU KAYAK」(URL:http://www.orukayak.com/

カヤックが趣味の建築家が、日本の折り紙にヒントを得て開発したのが、持ち運び可能な折りたたみ式のカヤックでした。組み立て時間は5分。素材がプラスチックで軽量なことから、運搬や収納も劇的に楽になりました。カヤック本体の安定度も高く、初心者から経験者まで使える製品として発売されています。

発展途上国の未熟児のための安価な保育袋「Embrace」(URL:http://embraceglobal.org

安価で衛生的、かつ再利用が可能な保育袋です。子どもたちが生き残るのも難しい発展途上国での利用を想定したもので、常時電力を必要しないことも特徴の1つです。

スマートフォン/タブレット用の手作りケース「DODOcase」(URL:http://www.dodocase.com/))

米国のオバマ大統領もiPad用のケースとして利用していたというDODOcaseもTechShopから生まれた製品です。手帳ファンが大好きな「モレスキン」のようなゴムバンドが付属しており質感も上々。そのほか財布やキーホルダー、名前タグのような革製品も作っています。

個人月額1万8500円の利用料は高いか安いか

アイデアのプロトタイピングから、さらに一歩先に進んでビジネス化への道のりも十二分に見えてきそうなTechShop。気になる利用料金ですが、個人なら入会金3000円、月額利用料は1万8500円、年間一括なら19万8000円のいずれも定額制です(図2)。工作機器のトレーニング受講料は1コース当たり4000円になっています。1日4500円で使い放題といったコースもあり、短期的な利用もできます。トレーニング費用を含む法人向けの料金体系もあります。

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図2:Techshopの料金プラン(Techshopの顧客向け資料より)

月額1万8500円という料金は、ちょっと高級なスポーツジムと同じ程度の費用でしょうか。数々の設備の利用価値を考えれば「割安」との見方もあるようですが、決して安いとは言えません。その費用を実りあるものにするためには、ワークショップなどをフルに活かし、人・知識・アイデアの交流促進や参加者同士の自発的な交流意識が不可欠といえそうです。

近年は日本でもハッカソンが多く開かれており、それまで互いに知らなかったエンジニアやデザイナーが同じプロジェクトに従事し、短期間でのプロトタイピングを目指すケースが増えてきました。日本のTechShopでも、ビジネスや技術の交流、ワークショップ、人と人の交流会など多数の催しの開催を予定しています。

常駐するドリームコンサルタントや、Techshop利用の中心的メンバーが、人脈やビジネスを広げる役割を担い、ここでの工作作業が閉じたモノにならないような流れを作っていくことが大切でしょう。この場で参加者の交流が進み、参加者同士が上手くコミュニケーションを取れる環境が作れたとき、TechShop本来のメリットがフルに発揮させることでしょう。そういった人の動きを生み出せれば、TechShopが日本でも成功を収める確率は、より高まるでしょう。

執筆者:中村 智洋(Digital Innovation Lab)、奥野 大児(ライター/ブロガー、https://twitter.com/odaiji

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