すべてをスマホに接続、家電製品を続々投入する中国・小米(XiaoMi)のスマートホーム戦略

2017.03.30
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スマホメーカーとして2010年4月に創業した小米(Xiaomi)。日本では今もスマホメーカーのイメージしかないかもしれませんが同社は最近、家電製品の製造・販売にも力を入れています。小米の家電製品では「スマートホーム」の一端が既に実現されようとしています。

小米の主力製品はこれまで、スマートフォンと、そこから派生したタブレットなどのモバイル端末や、それらの周辺機器でした。しかし今では、その周辺機器も、無線ルーターやドローンなどに広がっているほか、テレビや扇風機といった家電製品も商品化しています。例えばテレビでは、48インチから70インチまでの4Kテレビを揃えています。いずれの家電製品もスマホメーカーならではの特徴があります。ユニークな製品をいくつか紹介しましょう。

お米に合わせて2000種以上の炊き方を選べる炊飯器

2016年に発売された炊飯器の「米家(MIJIA)」は、スマホで操作できる炊飯器です(動画1)。買ってきたお米の袋に付いているバーコードをスマホで読み込めば、そのお米にあった炊き方を提案してくれるのが特徴です。判断材料にしているのは、お米の品種やブランド、産地といった情報と、炊飯機が置かれている場所の海抜など。提案される炊き方は現時点で2450種類もあります。これに自分の好みを加えれば、後は自動で炊きあがります。

動画1:小米の炊飯器「米家(MIJIA)」の操作方法を紹介するビデオ

操作をスマホ側に委ねることで、炊飯器側には操作ボタンはほとんどなく、極めてシンプルなデザインだと言えます。予約や調理メニューの選択といった機能は、日本で5万〜10万円などで販売されている上位機種とほぼ変わりません。それでいて米家の価格は999元(1万7000円弱)です。

操作する必要がない空気清浄機

北京などでは、PM2.5(微小粒子状物質)による空気汚染が深刻です。小米の「Mi Air Purifier 2」は、東レ製フィルダーを採用し、「PM2.5 より小さい0.3μmまでの粒子等を清浄できる」ことをウリにする空気清浄機です(動画2)。価格は699元(1万2000円弱)です。

動画2:小米の「Mi Air Purifier 2」のインドでの発表会の模様

「Mi Air Purifier 2」もスマホで操作できます。ただ実際には、稼働状況を自動で調整するため、人手による操作は、ほぼ不要になるようです。具体的には、空気の汚れ具合をリアルタイムに監視しながら、部屋の大きさに合わせた最適な稼働モードを選びます。また利用者自身による操作から、その人の生活習慣を学習し、外出時間に合わせて電源をON/OFFしたり稼働モードを変更したりするようになります。

スマホアプリからは、部屋の温度・湿度などが確認できるほか、国の気象局のデータに基づき、窓を開けたり空気清浄機を使ったりしたほうがよいかどうかのリコメンドも得られます。フィルダーの使用状況も確認でき、交換時期が近づけばリマインドされるほか、そのアプリからワンクリックで交換用フィルターを注文できます。

同様の考え方の浄水器「Mi Water Purifier」やロボット掃除機「MI robot Vacuum」などもあります。いずれもスマホアプリから稼働状況をリアルタイムに確認できたり、フィルターなど部品の寿命が分かったりするほか、やはりワンクリックで交換部品を注文できます(図1)。価格は、浄水器が1299元(2万2000円弱)、ロボット掃除機は1699元(約2万8000円)です。

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図1:スマホアプリから稼動状況や部品の状況が確認できる。画面はロボット掃除機「MI robot Vacume」の場合

AIを使った対話機能を備える監視カメラ

ネット接続機能を持つ家庭内を見守るための監視カメラ「Mi Camera」も製造しています。監視や撮影の基本機能のほか、スマホとの通話機能や、AI(人工知能)によるパソナルアシスタント機能も備えています(図2、関連動画)。カメラに話しかけることで、天気予報や時間、カレンダー、日常的な疑問への回答、冗談や物語などが返答されます。他のスマート家電との連携が可能で、この監視カメラを介して、音声で家電の電源をONO/OFFするといったコントロールができます。価格は399元(6500円強)です。

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図2:家庭内に設置する「Mi Camera」。画像による見守りや音声による応答、携帯電話との対話などができる

Mi Cameraは人の安全を見守る機器ですが、植物の状態を見守るためのデバイス「花花草草(Flower Care)」もあります。土に差す形のセンサーによって、日照や温度、水や肥料の状況をスマホからモニタリングできます(動画3)。クラウド上に現時点で900種類の植物についての育成方法のデータを持っており、これと照らし合わせながら植物を育てられます。センサーとスマホはBluetoothで接続し、植物の成長はスマホ経由でクラウドに送信し記録します。価格は49元(800円強)です。

動画3:「花花草草(Flower Care)」の使い方を紹介するビデオ

チャットサービスと連携し両親の血圧を見守るための血圧計

ヘルスケア分野にも参入しています。その1つが「米家 iHealth血圧計」です(図3)。日本でもスマホ連携する血圧計などが製品化されていますが、このiHealth血圧計は利用場面を、両親の利用に限定しているのが特徴です。そのため、操作ボタンは、お父さん用とお母さん用の2つしかありません。測定結果は音声で読み上げるほか、データはWi-Fi経由でクラウドに送られ、過去の履歴と比較できます。中国テンセントが提要するチャットサービス「Wechat(微信)」とも連携し、両親が血圧を測れば、Wechatに結果をメッセージとして受け取ることも可能です。価格は399元(6500円強)です。

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図3:「米家 iHealth血圧計」の外観(同製品のWebサイトより)

すべての家電が共通のプラットフォームから操作できる

いかがでしたでしょうか。私たちが日本の家電量販店で見る家電製品とは少し趣が違っていたのではないでしょうか。スマホでの操作を前提にすることで、電化製品そのもののデザインはとてもシンプルで、操作用のボタン類も最小限に抑えられています。筆者は、利便性とデザイン性を引き出すように設計されていると感じました。

これら家電製品を操作するためのスマホ用アプリですが、大きく2種類が用意されています。1つは、その家電専用にデザインされたアプリです。もう1つは、ほぼすべての家電製品を操作できる共用アプリの「米家(Mi Home)」です。小米はスマートホームのためのプラットフォームを確立しており、ここにつながる家電やデバイスを一元的に管理したり、それぞれを連携したりを可能にしています。このプラットフォームを経由すれば、小米以外が開発するアプリケーションも連携ができます。

例えば、スマート家電や無線ルーターなどをMi Homeアプリに登録すれば、それぞれの電源が、いつONになり、いつOFFになったかがスマホ上で把握できます(図4)。あるいは、小米が提供する活動量計を備えたウェアラブルデバイス「Mi Band2」を連携させれば、人の活動状況が分かるので、夜、眠りにつくと自動的に照明を暗くしたり家電の運転モードを切り替えたりが可能になります。Mi Bandシリーズの2016年第4四半期の出荷台数は520万台で、米Fitbitに次ぐ世界第2位になっています(米IDC調べ関連記事)。

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図4:ルーターに接続している各種デバイスの状況をスマホ上で確認できる

加えて、学習機能により、家電製品などから得られたデータに基づき、精度や機能の向上も図れます。米家(Mi Home)のプラットフォーム上でデータを蓄積・分析することで、空気清浄機のところで紹介したように、換気をうながしたり、あるいは消耗品の補充の手間を軽減したりが可能になるなど、小米の家電製品は個々のユーザーに、より高い付加価値を提供できるというわけです。こうしたエコシステムを形成できている点は、世界の投資家からも高く評価されており、米WSJ誌のユニコーン企業ランキングによれば、小米は米Uber Technologiesに次ぐ世界第2位に位置付けられています。

家電分野は日本が得意としてきた領域ですが、その強さを保つためには、これまで以上にデータやソフトウェアの活用を前提にした設計を強化する必要がありそうです。

執筆者:丁 晟彦(Digital Innovation Lab)

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